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名古屋大学 2006年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

AB 2つの町がある.
毎年1月1日に,A町の前年の住民のうち4割がB町に,B町の前年の住民のうち2割がA町に,
それぞれ引っ越す(住民の数は十分に多く,引っ越す住民の割合は正確に4割,2割と見なしてよい).
それ以外には住民の移動はなく,A町,B町両方をあわせた住民の数は不変である.
次の各問に答えよ.

(1) ある年の末にA町とB町それぞれに住んでいる住民の数をa0b0とする.
1年後にA町とB町それぞれに住んでいる住民の数a1b1を表す式を(a1b1)=M(a0b0)とおくとき,2×2の行列Mを具体的に示せ.

(2) 以下の式を満足する実数αβの値を求めよ.
ただしE2×2の単位行列である.M(MαE)=β(MαE)(3) (2)で与えられた式は,αβを入れ換えても成り立つ.
このことと(2)の結果を用いてMnを求めよ.ただしnは正の整数とする.

(4) n年後にA町とB町それぞれに住んでいる住民の数をanbnとで表す.
このとき,つぎの極限を求めよ.limnanbn

難易度6/ 10計算量6/ 10目安20

行列数列 漸化式の変形、式変形、極限計算

方針

まず1年後の移動を行列で表し,その行列が満たす二次式を直接計算する。M275M+25E=O が分かれば,MEM25E を使って E を2つの部分に分け,片方は M をかけても変わらず,もう片方は毎回 25 倍される形にできる。最後の極限では (25)n0 を用いる。全人口が一定であることを使う直接解もあり,極限の意味を確認する補助になる。

解答

(1)
1年後,A 町に残るのは A 町の前年住民の6割であり,B 町からは2割が移ってくる。したがって a1=35a0+15b0,b1=25a0+45b0 である。よってM=(35152545)である。

(2)
直接計算するとM2=(112572514251825)である。一方75M25E=(21251025725142528251025)=(112572514251825)だから M275M+25E=O である。これは M2M25M+25E=O すなわち M(ME)=25(ME) と書ける。したがって α=1,β=25 である。

(3)
(2)より M(ME)=25(ME) であり,問題文の通り 125 を入れ換えた式も成り立つので M(M25E)=M25E である。ここで P=53(M25E),Q=53(ME) とおくと,P+Q=E であり,さらに MP=P,MQ=25Q である。したがって Mn=Mn(P+Q)=P+(25)nQ となる。すなわちMn=53(M25E)53(25)n(ME)である。成分を整理するとMn=(13+23(25)n1313(25)n2323(25)n23+13(25)n)である。

(4) Mn の式よりan=(13+23(25)n)a0+(1313(25)n)b0,bn=(2323(25)n)a0+(23+13(25)n)b0である。n のとき (25)n0 だから,両町の合計人口 a0+b0 を用いて ana0+b03,bn2(a0+b0)3 となる。したがって limnanbn=12 である。

(4) の検算(総人口を用いる方法)

極限だけなら,合計人口 T=an+bn が一定であることを使ってもよい。bn=Tan とおくと an+1=35an+15bn=25an+15T である。両辺から T/3 を引くと an+1T3=25(anT3) となるので,anT/3bn=Tan2T/3 が直接分かる。これも上の極限 12 と一致する。

長期的には流出数が等しくなり,人口比は A:B=1:2 に近づく.

総評

行列計算の問題だが,本質は「一定になる部分」と「毎年 25 倍で消える部分」に分けることにある。目安は20分程度。(2)では二次式を暗算で決めようとすると係数を誤りやすいので,まず M(ME) を直接確認するのが安全である。(3)の分解は見慣れない形だが,P+Q=EMP=PMQ=(25)Q を順に書けば答案として十分伝わる。

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出典: 名古屋大学 2006年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。