方針
与えられた等式は展開すると であり,右辺 と比べて と同値になる。したがって(1)は行列の成分比較で を で表す。(2)では(1)を代入すると となるので, を使えば成分計算をほぼ避けられる。(3)は(1)で得た を用いて の非対角成分を調べ,実数条件で消える場合を絞る。
解答
(1)
まず与式を展開する。 である。これが に等しいので すなわち である。
成分を比較する。計算するとであり,である。対応する成分を比較して整理すると を得る。
(2)
(1) を代入するとである。したがってとなる。
また(1)より であるから とまとめられる。よってである。
(3)
(1) よりである。この について を計算し,非対角成分だけに注目する。 なら非対角成分はともに0でなければならない。
計算すると, の 成分は であり, 成分は である。ここで であるから,実数 に対して0にはならない。
したがって非対角成分がともに0になるには が同時に成り立つ必要がある。これを満たす実数は だけである。
このときであり,だから である。よってである。
別解
解法2(行列の2乗から絞る)
方針
可換条件の成分比較で を決め、 から を求める。(3)では を全部展開せず、まず の対角成分が等しい形を作る。もう一度2乗したときの非対角成分だけで を絞る。
解答
(1)
与式を展開するとなので である。対角成分の比較から非対角成分の比較からを得る。 が同時に1かつ2になることはないので 。よって(2)
(1) を代入すると である。また だから(3)よりここで の2つの非対角成分はである。両方が0でなければならず、 だから共通する解は だけである。このときしたがって
総評
難度6、計算量7。行列の可換条件を成分計算で処理する問題で、目安は25分程度である。(1)では与式を展開して に直すのが最初の要点である。(2)は に気づけば非常に短く、ここで無理に を全部計算すると時間を失う。(3)は の全成分を展開するより、まず非対角成分が0になる条件で を絞るのが安全である。 の確認を省くと、余分な実数解を疑わせる答案になる。