方針
とおき,まず対角成分から実数の候補を絞る。右上成分はで,でとなる。(3)ではからを得て,同符号・異符号に分ければが従う。
解答
とおく。
(1) したがっての条件はまたはではである。が異符号ならなのでは任意でよい。よってである。ただし後ろ2個のは任意の実数である。
(2)
の対角成分からは実数だからである。このときしたがって,すなわちである。よってだけである。
(3)
の対角成分からであり,実数条件よりではの右上成分は,ではである。したがっていずれもとなり,なのでである。
が異符号ならであるから以上より,ならば必ずである。
別解
解法2(行列多項式の因数分解)
方針
(1) はを直接計算する。(2)では,(3)ではと因数分解する。後ろの因子は上三角行列で対角成分が正になるため逆行列をもち,零積から前の因子が零行列と分かる。
解答
(1) より,条件は,である。したがってただし後ろ2個ではは任意の実数である。
(2) は上三角行列で,その対角成分はしたがっては逆行列をもつ。右からその逆行列を掛けるとゆえにである。
(3) は上三角行列で,対角成分は,である。よっては逆行列をもつからしたがってである。
総評
難度6,計算量5。解法1は上三角行列の対角成分から候補を絞る確実な方法で,解法2は行列多項式の因数分解と可逆性を用いる短い方法である。(1)では異符号のとき右上成分が任意になることを落とさず,(2)では実数の3乗根として1だけが残ることを確認する。解法2で零積から直ちに一方が零とするのは一般には誤りであり,後ろの因子が逆行列をもつことの説明が必須である。旧課程数学Cの範囲で完結する。18分程度が目安である。