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名古屋大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

2行2列の行列(abcd)を考える.a,b,dが実数でc=0である行列(ab0d)を上三角行列という.また,E=(1001)とおく.

(1) A2=Eをみたす上三角行列Aをすべて求めよ.

(2) A3=Eをみたす上三角行列Aをすべて求めよ.

(3) 上三角行列AA4=Eをみたすとき,A2=Eとなることを示せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

行列 場合分け、式変形、必要十分条件

方針

A=(ab0d)とおき,まず対角成分から実数a,dの候補を絞る。右上成分はA2b(a+d)A3b(a2+ad+d2)となる。(3)ではA4=Eからa,d=±1を得て,同符号・異符号に分ければA2=Eが従う。

解答

A=(ab0d)とおく。

(1) A2=(a2b(a+d)0d2).したがってA2=Eの条件はa2=d2=1,b(a+d)=0.a=d=1またはa=d=1ではb=0である。a,dが異符号ならa+d=0なのでbは任意でよい。よってA=E,E,(1b01),(1b01)である。ただし後ろ2個のbは任意の実数である。

(2)

A3=Eの対角成分からa3=d3=1.a,dは実数だからa=d=1である。このときA3=(13b01).したがって3b=0,すなわちb=0である。よってA=Eだけである。

(3)

A4=Eの対角成分からa4=d4=1であり,実数条件よりa,d{1,1}.a=d=1ではA4の右上成分は4ba=d=1では4bである。したがっていずれもb=0となり,A=±EなのでA2=Eである。

a,dが異符号ならa+d=0であるからA2=(a2b(a+d)0d2)=E.以上より,A4=Eならば必ずA2=Eである。

別解

解法2(行列多項式の因数分解)

方針

(1)A2を直接計算する。(2)ではA3E=(AE)(A2+A+E),(3)ではA4E=(A2E)(A2+E)と因数分解する。後ろの因子は上三角行列で対角成分が正になるため逆行列をもち,零積から前の因子が零行列と分かる。

解答

(1) A2=(a2b(a+d)0d2)より,条件はa2=d2=1b(a+d)=0である。したがってA=E,E,(1b01),(1b01),ただし後ろ2個ではbは任意の実数である。

(2) A3E=(AE)(A2+A+E)=O.A2+A+Eは上三角行列で,その対角成分はa2+a+1=(a+12)2+34>0,d2+d+1=(d+12)2+34>0.したがってA2+A+Eは逆行列をもつ。右からその逆行列を掛けるとAE=O,ゆえにA=Eである。

(3) A4E=(A2E)(A2+E)=O.A2+Eは上三角行列で,対角成分はa2+1>0d2+1>0である。よってA2+Eは逆行列をもつからA2E=O.したがってA2=Eである。

総評

難度6,計算量5。解法1は上三角行列の対角成分から候補を絞る確実な方法で,解法2は行列多項式の因数分解と可逆性を用いる短い方法である。(1)では異符号のとき右上成分bが任意になることを落とさず,(2)では実数の3乗根として1だけが残ることを確認する。解法2で零積から直ちに一方が零とするのは一般には誤りであり,後ろの因子が逆行列をもつことの説明が必須である。旧課程数学Cの範囲で完結する。18分程度が目安である。

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出典: 名古屋大学 2007年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。