方針
赤球の位置を3状態の確率として追跡し,1回の操作による遷移から漸化式を立てる。明示式を求めるには,和 ,差 ,および の1次漸化式に分解するとよい。最後に と は,和と差から復元する。
解答
(1) 最初,赤球は箱 に入っている。
1回目の操作では,表なら と を入れ替えるので赤球は に移り,裏なら と を入れ替えるので赤球は に残る。したがって である。
2回目は,1回目後の位置からもう一度場合分けすればよい。赤球が にある確率は , にある確率は である。赤球が にあるとき,次に表が出ると へ移り,裏が出ると に残る。赤球が にあるとき,次に表が出ると へ移り,裏が出ると へ移る。よって である。
(2) 回目の操作後の確率を とする。
次の操作後に赤球が にあるのは,直前に にあって裏が出る場合,または直前に にあって表が出る場合である。よって 同様に,次の操作後に赤球が にあるのは,直前に にあって表が出る場合,または直前に にあって裏が出る場合であるから また,次の操作後に赤球が にあるのは,直前に にあって裏が出る場合,または直前に にあって表が出る場合であるから したがってである。
(3) まず常に である。第1式と第3式を引くとである。 だから を得る。
また である。これを と書く。 だから であり,となる。よって である。
残る を求める。 よりである。一方で である。
したがって,和と差からすなわちである。またよりである。
以上よりである。
赤球の位置の状態遷移
頂点は赤球の現在位置を表す。
別解
方針
赤球の位置確率を3成分の列ベクトルにまとめる。遷移行列には、全成分が等しい方向、 と の差を表す方向、中央と両端の差を表す方向の3つの固有方向がある。初期状態をその3方向へ分解して一般項を一度に得る。
解答
(1)
初期状態をとする。1回、2回の遷移を直接行うとしたがって(2) とおく。状態遷移図から成分ごとに書けば(3)
3つのベクトルに対してである。またしたがって各成分を読めば
総評
3状態の確率漸化式をそのまま連立で解こうとすると重く見えるが,保存量 と差 に注目すると一気に1次漸化式へ分解できる。 が決まれば, と の和差算で が復元できる。文系第3問と同じ設定だが,こちらは3つの確率の明示式まで求める点が違いである。
保存量と差の漸化式による方法は高校答案として短く、遷移行列の固有方向による方法は3項の形が現れる理由を一度に説明する。どちらの明示式も を代入し、確率の和が1になることを確認するとよい。