方針
積が1以上になる条件は「0のカードを取らない」こと,積が2になる条件は「2を取り,0を取らず,残りは1を取る」ことである。組合せで確率を出したあと,Qn(k)はk(n+2−k)に比例する形へ整理する。最後は1≦k≦n+2の整数範囲で,和がn+2になる2数の積k(n+2−k)を最大化し,n+2の偶奇,すなわちnの偶奇で場合分けする。
解答
(1)
取り出したカードの積が1以上になるには,数字0のカードを取り出してはいけない。0を含まなければ,取り出したカードは1または2だけなので積は必ず1以上である。
全事象はn+2枚からk枚を選ぶ場合で,その総数はn+2Ckである。0のカードを除いたn+1枚からk枚を選ぶ場合はn+1Ck通りだから,求める確率はn+2Ckn+1Ck=n+2n+2−kである。なお,k=n+2のときは全カードを取るので確率0となり,この式にも含まれている。
(2)
積が2となるためには,数字2のカードを取り出し,数字0のカードを取り出さず,残りk−1枚を数字1のカードから取り出せばよい。したがって有利な取り出し方は nCk−1 通りである。よって Qn(k)=n+2CknCk−1 である。これを整理するとQn(k)=k!(n+2−k)!(n+2)!(k−1)!(n−k+1)!n!=(k−1)!(n−k+1)!(n+2)!n!k!(n+2−k)!=(n+1)(n+2)k(n+2−k)となる。
(3)
分母(n+1)(n+2)はkによらないので,k(n+2−k) を1≦k≦n+2の整数で最大にすればよい。ここで k(n+2−k)=(2n+2)2−(k−2n+2)2 であるから,kは(n+2)/2に最も近い整数を選べばよい。 nが偶数のとき,n+2も偶数である。このとき最大となるのは k=2n+2 であり,最大値はQn(2n+2)=(n+1)(n+2)(2n+2)2=4(n+1)n+2である。 nが奇数のとき,(n+2)/2は半整数であるから,最大となるkは k=2n+1,2n+3 の2つである。このとき k(n+2−k)=2n+1⋅2n+3=4(n+1)(n+3) なので,最大値は 4(n+1)(n+2)(n+1)(n+3)=4(n+2)n+3 である。
別解
解法2
方針
0と2のカードだけを追跡し,組合せを展開せず逐次選択の確率で求める。最大化は平方完成ではなく,隣接差Qn(k+1)−Qn(k)の符号を調べ,整数kにおける増減と同率最大の有無を直接判定する。
解答
(1)
積が1以上となるための必要十分条件は,0のカードを取らないことである。各カードが選ばれる確率は等しく,0のカードが選ばれない確率は1−n+2k=n+2n+2−kである。
(2)
積が2となるには,2のカードを選び,0のカードを選ばなければよい。まず2のカードが選ばれる確率はk/(n+2)である。2が選ばれたとしたとき,残るn+1枚からさらに選ばれるk−1枚が0を避ける確率はn+1n+2−kである。したがってQn(k)=n+2k⋅n+1n+2−k=(n+1)(n+2)k(n+2−k).(3)
分母は正でkに依存しないので,f(k)=k(n+2−k)の増減を調べる。隣接差はf(k+1)−f(k)=(k+1)(n+1−k)−k(n+2−k)=n+1−2k.よってk<(n+1)/2で増加し,k>(n+1)/2で減少する。
nが偶数なら最大を与える整数はk=2n+2のみで,最大値は4(n+1)n+2.nが奇数ならk=2n+1,2n+3の2つで最大となり,最大値は4(n+2)n+3.
総評
難度5,計算量4。目安時間は12分。カードの種類は多く見えるが,判断すべき特殊カードは0と2の2枚だけである。(1)では0を含まないこと,(2)では2を含み0を含まないことを正確に言語化できれば数え上げは短い。(3)は確率の最大化ではなく,整数kに対する2次式k(n+2−k)の最大化である。偶奇によって最大を与えるkの個数が変わるため,最大値だけでなくkの値も漏らさず書くことが得点上重要である。
冊子PDFで見る名大の確率の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 2016年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。