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名古屋大学 2024年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

座標空間の3点A(3,1,3)B(4,2,2)C(4,0,1)の定める平面をHとする。また,AP=sAB+tAC(s,tは非負の実数)を満たすすべての点Pからなる領域をKとする。

(1) 内積ABAB
ACACABACを求めよ。

(2) 原点O(0,0,0)から平面Hに下ろした垂線の足をQとする。
AQABACで表せ。

(3) 領域K上の点Pに対して,線分QP上の点でAR=rAC
(rは非負の実数)を満たす点Rが存在することを示せ。

(4) 領域Kにおいて原点Oからの距離が最小となる点Sの座標を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

ベクトル ベクトル成分計算内積の利用図形的解釈、存在証明

方針

AB,ACを基底のように使い,平面H内の点を係数(s,t)で表す。(2)はAQ=uAB+vACとおき,OQAB,ACの両方に垂直であることからu,vを求める。(3)は係数平面で見ると,Q(1,1)Pは第1象限の点なので,線分QPAB係数0の半直線と必ず交わる。(4)はOQHよりOP2=OQ2+QP2を使い,(3)で得た半直線AC上に最短点を押し下げられることから,A+rAC上で距離を最小化する。直接2変数二次式で最小化する別解も確認に有効である。

解答

(1) AB=BA=(1,1,1),AC=CA=(1,1,2)である。したがって ABAB=12+12+(1)2=3ACAC=12+(1)2+(2)2=6 ABAC=11+1(1)+(1)(2)=2である。よってAB2=3,AC2=6,ABAC=2である。

(2) AQ=uAB+vAC とおく。Qは原点Oから平面Hに下ろした垂線の足なので,OQは平面H上の方向ベクトルAB,ACに垂直である。すなわちOQAB=0,OQAC=0である。

ここでOQ=OA+uAB+vACであり,OA=A=(3,1,3) だからOAAB=3+13=1,OAAC=316=4である。(1)の内積も用いると,垂直条件は 1+3u+2v=0,4+2u+6v=0 となる。これを解いて u=1,v=1 を得る。したがって AQ=AB+AC である。

(3)
領域K上の点PAP=sAB+tAC(s,t0)と表す。(2)より,係数で見るとQ(1,1) に対応し,P(s,t) に対応する。

線分QP上の点は,0λ1を用いて (1λ)(1,1)+λ(s,t) と表せる。ABの係数を0にしたいので (1λ)+λs=0 を満たすλを取る。これは λ=1s+1 であり,s0だから0<λ1である。

このときACの係数は (1λ)1+λt=s+ts+1 であり,s,t0より非負である。したがって,この点をRとすればAR=rAC,r=s+ts+10となる。よって条件を満たす点Rが線分QP上に存在する。

(4)
OQは平面Hに垂直であり,P,Qはともに平面H上にあるので,任意のPKについて OP2=OQ2+QP2 である。したがって,OPを最小にするにはQPを最小にすればよい。

(3) より,任意のPKに対して,線分QP上にAR=rACを満たす点Rが存在する。このRKに含まれる。またRは線分QP上にあるので QRQP である。よって OR2=OQ2+QR2OQ2+QP2=OP2 となる。したがって,最短点は半直線 AS=rAC(r0) 上で探せばよい。

S=A+rACとおくと S=(3,1,3)+r(1,1,2)=(3+r,1r,32r) である。原点からの距離の2乗はOS2=(3+r)2+(1r)2+(32r)2=6r28r+19である。これは 6(r23)2+493 と平方完成できるので,r=23で最小となる。したがって S=(3,1,3)+23(1,1,2)=(113,13,53) である。

よって求める点は S(113,13,53) である。

係数平面で見ると,Qから第1象限の任意の点Pへの線分は縦の非負半直線と交わる。

別解

解法2((4)の直接最小化)

方針

OP2s,tの二次式として展開し,s0による差が常に非負であることからs=0へ絞る。残ったtの二次式を平方完成する。

解答

(1)
解法1と同じである。

(2)
解法1と同じである。

(3)
解法1と同じである。

(4)
P=A+sAB+tACとおくと,s,t0であり,内積の値からOP2=19+2s8t+3s2+4st+6t2である。固定したt0についてOP2(s,t)OP2(0,t)=s(3s+4t+2)0だから,最小値はs=0で生じる。そのときOP2(0,t)=6t28t+19=6(t23)2+493である。したがってt=2/3で最小となり,S=A+23AC=(113,13,53)を得る。この方法は偏微分を使わず,非負条件と平方完成だけで二変数の最小値を処理している。

総評

平面内の点をAB,ACの係数で表し,係数平面で領域を見る空間ベクトル問題。目安時間は22分。(2)はOQが平面の2方向に垂直であることから連立方程式を立てる。(3)はQ=(1,1)と第1象限のP=(s,t)を結ぶ線分が,AB係数0の非負半直線と交わるという主張である。(4)はこの交点へ最短候補を移す主解と,二変数二次式を直接平方完成する別解を併記した。

公式出題意図との対応:公式の出題意図は空間ベクトル,内積,立体図形を扱う問題としている。解答では実空間の垂直条件と,係数平面上の線分の交わりを区別して可視化し,最短距離の議論につないだ。

出典確認:公式問題PDF第1ページの第3問と照合済み。公式公開物は「出題の意図」で,解答例ではない。

独立検算:AB=(1,1,1)AC=(1,1,2)から3つの内積を再計算し,Q=AAB+AC=(3,1,2)が両方向に垂直であることを確認した。二次式OP2についても主解と別解がともに(s,t)=(0,2/3)を与え,S=(11/3,1/3,5/3)で一致する。

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出典: 名古屋大学 令和6年度一般選抜(前期日程)数学(理科系) 公式問題・出題の意図(大学公式の問題PDF(1ページ))。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。