方針
(1) は赤玉が0回,または0回・1回の余事象で求める。(2)はを二項分布の上側確率として和で書き,で微分する。微分後にとを用いると中間項が打ち消し合い,積分表示の被積分関数が現れる。両辺がで0であることから等式を得る。(3)は(2)で,しきい値,とし,奇数回試行では赤が過半数となる確率がであることを使う。
解答
(1)
とする。赤玉を1回以上取り出す確率は,赤玉を1回も取り出さない確率の余事象である。赤玉を1回も取り出さない確率はなので である。
また,赤玉を2回以上取り出す確率は,赤玉を0回または1回取り出す確率の余事象である。赤玉をちょうど1回取り出す確率は であるから である。
(2)
赤玉を回取り出す確率は である。したがって である。
この式をで微分する。である。ここでを用いるとである。第1の和でとおくと,となる。第2の和はと見れば,である。したがって途中の項は打ち消し合い,残るのはの項だけである。よってである。
一方,右辺 をで微分すると,同じく となる。またでは,であり,積分も0である。したがって両辺はすべてので等しく, が成り立つ。
(3)
(2)で,試行回数を,赤玉を取り出す確率を,しきい値をとする。このとき である。ここで左辺は,回の試行で赤玉が回以上出る確率である。
赤玉と白玉が出る確率はいずれもであり,試行回数は奇数である。したがって,赤玉が回以上出る事象と,白玉が回以上出る事象は互いに排反で,対称性により確率は等しい。この2つの事象は全体を尽くすので,それぞれの確率は である。よって である。
したがって となり, である。
の例。一般のでも被積分関数はについて対称なので,の積分はの半分である。
別解
解法2((3)の部分積分による別解)
方針
被積分関数のに関する対称性で区間をの半分へ広げ,部分積分を回繰り返して階乗の積を得る。
解答
(1)
解法1と同じである。
(2)
解法1と同じである。
(3)
まずとおく。はをに替えても変わらないから,グラフはについて対称であり,である。
を,を微分する側,を積分する側として部分積分する。端点の項は0なのでとなる。同じ操作を残るの次数が0になるまで繰り返すとを得る。(1)よりである。
総評
二項分布の上側確率を微分し,定積分表示へ結びつける誘導型の確率・積分問題。目安時間は20分。(2)では和を微分したあと,組合せ係数の関係により中間項が望ましく相殺される。導関数の一致だけでなくでの値も確認する。(3)の主解は奇数回試行の対称性を使い,別解は被積分関数の対称性と部分積分だけで同じ値を導く。
公式出題意図との対応:公式の出題意図は確率と積分を結びつける問題としている。解答では二項確率の和,微分による相殺,積分定数の決定,対称性という各段階を省略せず記述した。
出典確認:公式問題PDF第1ページの第4問と照合済み。公式公開物は「出題の意図」で,解答例ではない。
独立検算:について積分を多項式展開して直接計算し,と一致することを確認した。また(2)は端点および小さいで二項確率の和と数値一致する。