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名古屋大学 2026年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

xy平面上を次の規則(i),(ii)に従って移動する点Aを考える。

(i) 時刻0で点Aは原点にある。

(ii) ある時刻において点Aが(x,y)にあるとき,時刻が1増えると点Aは
3点(x+1,y),(x+1,y+1),(x,y+1)のいずれかに
それぞれ13の確率で移動する。

1以上の整数nに対して,次の条件(*)が成り立つ確率をPnとする。

(*) 時刻0から時刻nまで点Aはつねに1yx1で定まる領域にある。

このとき,以下の問いに答えよ。

(1) P1,P2,P3を求めよ。

(2) 1以上の整数nに対して,条件(*)が成り立ちかつ時刻nで点Aが直線yx=0上にある確率をanとする。
また,条件(*)が成り立ちかつ時刻nで点Aが直線yx=1上または直線yx=1上にある確率をbnとする。
an+1,bn+1an,bnを用いて表せ。

(3) Pn+2Pn+1,Pnを用いて表せ。

(4) α=1+23とおくとき,Pnαn1が1以上のすべての整数nに対して成り立つことを証明せよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

確率数列 状態分類確率漸化式漸化式の変形数学的帰納法

方針

移動で重要なのは座標そのものではなく差 d=yx だけである。1回の移動で dd1,d,d+1 のいずれかに確率 1/3 で移る。条件(*)は d=1,0,1 の3状態から出ないことなので,中央 d=0 にいる確率を an,端 d=±1 にいる確率をまとめて bn として漸化式を立てる。Pn=an+bn から2項漸化式を作り,最後は α がその漸化式の特性方程式を満たすことを使って帰納法で上から押さえる。

解答

(1)
点Aの位置を (x,y) とし,d=yx に注目する。1回の移動で,(x+1,y)へ移るとdd1, (x+1,y+1)へ移るとdd, (x,y+1)へ移るとdd+1 である。いずれも確率は 1/3 である。条件(*)は,時刻0から時刻 n まで常に 1d1 にあるという条件である。

時刻0では d=0 である。1回後には 1,0,1 のいずれかになるので,すべて条件を満たす。したがって P1=1 である。

2回後を考える。時刻1で d=0 にいる場合は次も3通りすべて許される。時刻1で d=1 にいる場合は d=2 へ行く移動だけが許されず,2通りが許される。d=1 の場合も同様に2通りである。よって全9通りのうち許されるものは 3+2+2=7 通りであり,P2=79 である。

3回後については,後で用いる an,bn の考え方で数える。時刻2で条件を満たして d=0 にいる確率は 1/3d=±1 にいる確率の合計は 4/9 である。次の1回で許される確率は,d=0 からは1,d=±1 からは 2/3 であるからP3=131+4923=927+827=1727である。したがって P1=1,P2=79,P3=1727 である。

(2)
時刻 n まで条件(*)を満たし,かつ時刻 nd=0 にいる確率を an,時刻 nd=1 または d=1 にいる確率の合計を bn とする。 d=0 から次に d=0 へ移る確率は 1/3 であり,d=1 または d=1 から d=0 へ移る確率もそれぞれ 1/3 である。したがって an+1=13an+13bn=an+bn3 である。

次に,d=0 から d=1 または d=1 へ移る確率は合計 2/3 である。また d=1 にいるとき,条件を保って端に残るのは d=1 へ移る場合だけで,確率は 1/3 である。d=1 でも同様である。よって bn+1=23an+13bn=2an+bn3 である。したがって an+1=an+bn3,bn+1=2an+bn3 である。

(3) Pn=an+bn である。また,時刻 n の状態から次の1回も条件を保つ確率を考えると,d=0 からは確率1,d=±1 からは確率 2/3 であるから Pn+1=an+23bn である。

同様に Pn+2=an+1+23bn+1 である。(2)の式を代入するとPn+2=an+bn3+232an+bn3=7an+5bn9である。一方,23Pn+1+19Pn=23(an+23bn)+19(an+bn)=7an+5bn9である。したがって Pn+2=23Pn+1+19Pn である。

(4) α=1+23 とする。このとき α2=(1+2)29=3+229 であり,23α+19=2(1+2)9+19=3+229だから α2=23α+19 が成り立つ。

まず P1=1=α0 である。また P2=79 である。(43)2=169<2 より 2>43 だから,α=1+23>1+433=79=P2 である。

ある n1 について Pnαn1,Pn+1αn が成り立つと仮定する。(3)より Pn+2=23Pn+1+19Pn であるから,Pn+223αn+19αn1=αn1(23α+19)=αn1α2=αn+1である。

したがって数学的帰納法により,1以上のすべての整数 n について Pnαn1 が成り立つ。

総評

難度6,計算量5。想定時間は18分程度。位置 (x,y) を直接追わず,差 d=yx だけを見ると状態は 1,0,1 に圧縮できる。さらに端の2状態は対称なので,中央の確率 an と両端の合計 bn の2量で十分である。(3)は Pn=an+bn, Pn+1=an+2bn/3 を書いて消去すると安定する。(4)では α2=2α/3+1/9 が漸化式と一致することを先に確認し,2段階の帰納法へつなぐ。初期値 P2α の根拠も省かないこと。状態遷移を小さな表にすると,数え漏れや an,bn の取り違えを防げる。前半を確実に得点し,帰納法は式の対応を見抜いてから書き始めたい。

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出典: 名古屋大学 令和8年度一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。