方針
移動で重要なのは座標そのものではなく差 だけである。1回の移動で は のいずれかに確率 で移る。条件(*)は の3状態から出ないことなので,中央 にいる確率を ,端 にいる確率をまとめて として漸化式を立てる。 から2項漸化式を作り,最後は がその漸化式の特性方程式を満たすことを使って帰納法で上から押さえる。
解答
(1)
点Aの位置を とし, に注目する。1回の移動で, である。いずれも確率は である。条件(*)は,時刻0から時刻 まで常に にあるという条件である。
時刻0では である。1回後には のいずれかになるので,すべて条件を満たす。したがって である。
2回後を考える。時刻1で にいる場合は次も3通りすべて許される。時刻1で にいる場合は へ行く移動だけが許されず,2通りが許される。 の場合も同様に2通りである。よって全9通りのうち許されるものは 通りであり, である。
3回後については,後で用いる の考え方で数える。時刻2で条件を満たして にいる確率は , にいる確率の合計は である。次の1回で許される確率は, からは1, からは であるからである。したがって である。
(2)
時刻 まで条件(*)を満たし,かつ時刻 で にいる確率を ,時刻 で または にいる確率の合計を とする。 から次に へ移る確率は であり, または から へ移る確率もそれぞれ である。したがって である。
次に, から または へ移る確率は合計 である。また にいるとき,条件を保って端に残るのは へ移る場合だけで,確率は である。 でも同様である。よって である。したがって である。
(3) である。また,時刻 の状態から次の1回も条件を保つ確率を考えると, からは確率1, からは確率 であるから である。
同様に である。(2)の式を代入するとである。一方,である。したがって である。
(4) とする。このとき であり,だから が成り立つ。
まず である。また である。 より だから, である。
ある について が成り立つと仮定する。(3)より であるから,である。
したがって数学的帰納法により,1以上のすべての整数 について が成り立つ。
総評
難度6,計算量5。想定時間は18分程度。位置 を直接追わず,差 だけを見ると状態は に圧縮できる。さらに端の2状態は対称なので,中央の確率 と両端の合計 の2量で十分である。(3)は を書いて消去すると安定する。(4)では が漸化式と一致することを先に確認し,2段階の帰納法へつなぐ。初期値 の根拠も省かないこと。状態遷移を小さな表にすると,数え漏れや の取り違えを防げる。前半を確実に得点し,帰納法は式の対応を見抜いてから書き始めたい。