Evolton

大阪大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

自然数の列a1,a2,a3,a4,a5は等比数列であるとしS=a1+a2+a3+a4+a5S=a1a2+a3a4+a5T=a12+a22+a32+a42+a52とおく.

(1) 整数Tは整数Sで割り切れ,その商はSとなることを示せ.

(2) Tが素数となる場合のTの値を求めよ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安18

数列整数 式変形、約数・倍数、場合分け

方針

公比をただちに整数と決めず、正の有理数として扱う。まず5項用の恒等式から T=SS を示し、商 S が整数であることまで確認する。素数条件では S5 なので S=1 が必要になり、既約分数で表した公比から自然数等比数列の一般形を書いて、交代和が1になる場合を絞り込む。最後に、全項が1のときだけ候補になり、そのとき T=5 で確かに素数になることを確認する。

解答

(1)
公比を r とおく。各項は自然数であるから r は正の有理数であるが、以下の恒等式はそのまま使える。 S=a1(1+r+r2+r3+r4),S=a1(1r+r2r3+r4) また (1+r+r2+r3+r4)(1r+r2r3+r4)=1+r2+r4+r6+r8 である。したがって SS=a12(1+r2+r4+r6+r8)=T を得る。ここで SS はどちらも整数で、S>0 である。よって T は整数 S で割り切れ、その商は S である。

(2)
(1)より T=SS である。5項はいずれも自然数なので S=a1+a2+a3+a4+a55 であり、T が素数なら、正の整数の積の分解 T=SS において S=1 でなければならない。

公比を既約分数 r=uv とおく。ただし u,v は互いに素な自然数である。5項すべてが自然数であるため、ある自然数 c を用いてa1=cv4,a2=cuv3,a3=cu2v2,a4=cu3v,a5=cu4と表せる。このとき S=cD,D=v4uv3+u2v2u3v+u4 である。

ここで D=1 となる場合を調べる。もし u>v なら D=v4+u3(uv)+uv2(uv)>1 である。もし v>u なら D=u4+v3(vu)+u2v(vu)>1 である。したがって D=1 となるには u=v が必要で、互いに素であることから u=v=1 である。さらに S=cD=1 より c=1 である。

よって a1=a2=a3=a4=a5=1 に限られる。このとき T=12+12+12+12+12=5 であり、これは素数である。したがって求める値は 5 である。

別解

解法2(奇数番目と偶数番目の和)

方針

奇数番目の和を O、偶数番目の和を E と置く。等比数列の積の関係から O2E2=T を直接示せば、SS=T が得られる。素数条件では S=1 に絞り、公比を既約分数で表して自然数等比数列の一般形を作る。

解答

(1)
奇数番目と偶数番目の和をO=a1+a3+a5,E=a2+a4と置く。このとき S=O+ES=OE である。等比数列ではa1a3=a22,a1a5=a32,a3a5=a42,a2a4=a32が成り立つ。したがってSS=O2E2=a12+a32+a52+2(a1a3+a1a5+a3a5)a22a422a2a4=a12+a22+a32+a42+a52=T.S は整数であるから、TS で割り切れ、その商は S である。

(2)
T=SS かつ S5 である。T が素数なら S=1 でなければならない。

公比を既約分数 u/v とする。5項がすべて自然数なので、ある自然数 c を用いて(a1,a2,a3,a4,a5)=c(v4,uv3,u2v2,u3v,u4)と表せる。よってS=c{v4uv3+u2v2u3v+u4}=cDと置く。u>v ならD=v4+(uv)(u3+uv2)>1,v>u ならD=u4+(vu)(v3+u2v)>1.したがって D=1 には u=v が必要で、既約性から u=v=1 となる。さらに cD=1 より c=1 である。ゆえに全項が1で、T=12+12+12+12+12=5.実際に5は素数なので、求める値は 5 である。

総評

等比数列の和に隠れた因数分解と、自然数条件を同時に扱う問題である。目安は18分。最大の注意点は、公比を初めから整数と決めないことと、T=SS の後に S が正の整数であることを確認することである。2解法を見比べると、積の恒等式が「奇数番目の和と偶数番目の和の平方差」であることが分かる。

冊子PDFで見る阪大の数列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1987年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。