方針
累積積分 F(x)=∫0xf(t)dt を置くと、もう一方の積分は全体の積分から F(x) を引いたものになる。まず f の絶対値を x=1 で分け、F(x) を区間ごとに求める。全体の積分が1なので g(x)=∣F(x)∣+∣1−F(x)∣ であり、F(x) が [0,1] にあるときは g=1、負になると g=1−2F で増える。したがって F の最小値を丁寧に調べればよい。
解答
F(x)=∫0xf(t)dt とおく。このとき ∫x2f(t)dt=∫02f(t)dt−F(x) である。
まず f(x) を区間ごとに書く。0≦x≦1 では ∣x−1∣=1−x なので f(x)=x−2+3(1−x)=1−2x である。したがって F(x)=∫0x(1−2t)dt=x−x2(0≦x≦1) である。
次に 1≦x≦2 では ∣x−1∣=x−1 なので f(x)=x−2+3(x−1)=4x−5 である。さらに F(1)=1−1=0 だからF(x)=F(1)+∫1x(4t−5)dt=[2t2−5t]1x=2x2−5x+3(1≦x≦2)である。特に ∫02f(t)dt=F(2)=1 であるから g(x)=∣F(x)∣+∣1−F(x)∣ となる。
ここで F(x) の値域を調べる。0≦x≦1 では F(x)=x−x2=x(1−x) なので 0≦F(x)≦41 である。1≦x≦2 では F(x)=2x2−5x+3 であり、これは上に開く2次関数である。頂点は x=45 で、その値はF(45)=2⋅1625−5⋅45+3=825−425+3=−81である。また F(1)=0、F(2)=1 だから、この区間での最大値は1である。
以上より、0≦x≦2 において −81≦F(x)≦1 である。0≦F(x)≦1 のときは g(x)=F(x)+1−F(x)=1 である。一方、F(x)<0 のときは g(x)=−F(x)+1−F(x)=1−2F(x) である。したがって g(x) は F(x) が最小になるとき最大となり、maxg(x)=1−2(−81)=45 である。この最大値は x=5/4 のときに実現する。
別解
解法2(符号区間を直接分ける方法)
方針
2つの積分を区間ごとに直接書き、累積積分が負になる区間だけを抽出する。
∣u∣+∣1−u∣ は 0≦u≦1 なら1、u<0 なら
1−2u であるため、負の区間の二次式を平方完成すればよい。
解答
F(x)=∫0xf(t)dtとおく。絶対値を x=1 で分けて積分するとF(x)={x−x22x2−5x+30≦x≦1,1≦x≦2.また F(2)=1 なのでg(x)=∣F(x)∣+∣1−F(x)∣.0≦x≦1 では 0≦F(x)≦1/4 だから g(x)=1 である。
1≦x≦2 ではF(x)=(x−1)(2x−3).従って 1<x<3/2 でだけ F(x)<0 となり、この区間ではg(x)=1−2F(x).ここでF(x)=2(x−45)2−81だからg(x)=45−4(x−45)2.よって最大値は x=5/4 のときの45である。
総評
難度は10段階中5、計算量は10段階中5。目安は15分から18分。絶対値付き積分を2つ別々に処理するのではなく、累積積分 F(x) と全体積分 F(2)=1 で g(x)=∣F(x)∣+∣1−F(x)∣ に直すのが要点である。最大値は F の最大値ではなく、F が負に沈む最小値で決まる。1≦x≦2 の2次関数の頂点 x=5/4 と、端点 F(2)=1 の確認を両方書くと、値域の議論が明確になる。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。
冊子PDFで見る阪大の積分の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 2000年度 前期 文系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。