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大阪大学 2003年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

πを円周率とする.次の積分について考える.I0=π01sinπtdt,In=πn+1n!01tn(1t)nsinπtdt(n=1,2,)(1) nが自然数であるとき,不等式1+x1!+x22!++xnn!<ex(x>0)が成立することを数学的帰納法により示せ.これを用いて,不等式I0+uI1+u2I2++unIn<πeπu(u>0)が成立することを示せ.

(2) I0I1の値を求めよ.また,漸化式In+1=4n+2πInIn1(n=1,2,)が成立することを示せ.

(3) πが無理数であることを背理法により証明しよう.
πが無理数でないとし,正の整数pqによってπ=pqとして表されると仮定する.
A0=I0An=pnInとおくとき,A0,A1,A2,は正の整数になることを示せ.
さらに,これから矛盾を導け.

難易度9/ 10計算量9/ 10目安40

積分数列論証・証明 数学的帰納法、部分積分、漸化式の変形、背理法、不等式評価

方針

(1) は差を微分すると一つ前の段階の差になることを使って帰納する。積分列は各積分を粗く上から評価する。(2)では fn=tn(1t)n の二階微分の関係を作り、部分積分を2回行う。(3)は漸化式で整数性を伝え、(1)が正整数の部分和を一様に抑える矛盾を使う。

解答

(1) Sn(x)=k=0nxkk!とおく。exS0(x)=ex1>0 である。exSn(x)>0 を仮定するとddx{exSn+1(x)}=exSn(x)>0で、x=0 で差は0だから exSn+1(x)>0 である。よって帰納法により主張が成り立つ。

k1 では積分の被積分関数は0と1の間にあるので0<Ik<πk+1k!,また I0=2<π である。したがって u>0 に対してk=0nukIk<πk=0n(πu)kk!<πeπu.(2) 直接積分してI0=2,I1=π201t(1t)sinπtdt=4π.Jn=01tn(1t)nsinπtdt, fn=tn(1t)n とおく。計算するとfn+1=n(n+1)fn12(n+1)(2n+1)fn.端点で fn+1,fn+1 は0だから、部分積分を2回行って01fn+1sinπtdt=π2Jn+1.ゆえにπ2Jn+1=2(n+1)(2n+1)Jnn(n+1)Jn1.In=πn+1Jnn! を代入して整理するとIn+1=4n+2πInIn1.(3) π=pq と仮定する。A0=I0=2A1=pI1=4q は正の整数である。漸化式を用いるとAn+1=(4n+2)qAnp2An1.したがって帰納法によりすべての An は整数である。また定義積分の被積分関数は 0<t<1 で正だから An>0 である。

(1)u=p とすると、すべての n についてA0+A1++An<πeπp.しかし左辺は n+1 個の正の整数の和なので n+1 以上であり、n を十分大きくすれば右辺の固定値を超える。これは矛盾である。よって π は無理数である。

別解

解法2(正整数列が0へ近づく矛盾)

方針

(1) は差を積分表示して正値性を示す。(2) は tn(1t)n の2階微分恒等式を積分する。(3) は漸化式で正整数性を得た後、t(1t)14 によって An0 を示し、正整数であることと矛盾させる。

解答

(1) Rn(x)=exk=0nxkk!とおく。R0(x)>0 であり、Rn+1(x)=0xRn(s)dsだから、帰納法で Rn(x)>0 を得る。また 0<t<1 では0<tk(1t)ksinπt<1なので0<Ik<πk+1k!.よってk=0nukIk<πk=0n(πu)kk!<πeπu.(2)Jn=01tn(1t)nsinπtdt,fn=tn(1t)nとおく。直接微分するとfn+1=n(n+1)fn12(n+1)(2n+1)fn.両辺へ sinπt を掛けて積分し、左辺を2回部分積分するとπ2Jn+1=n(n+1)Jn12(n+1)(2n+1)Jn.In=πn+1n!Jnを代入すればIn+1=4n+2πInIn1.また直接積分からI0=2,I1=4π.(3)π=pq と仮定し A0=I0An=pnIn とおくとA0=2,A1=4q,An+1=(4n+2)qAnp2An1.よって帰納法で An は整数であり、積分の正値性から正の整数である。

一方、0<t(1t)14,sinπt1より0<An<π(pπ4)nn!.右辺を Bn とするとBn+1Bn=pπ4(n+1)だから、十分大きい n ではこの比は 12 以下となり Bn0 である。したがって十分大きい n0<An<1 となるが、正の整数にそのようなものはない。矛盾より π は無理数である。

総評

難度9、計算量9。想定時間は40分以上の最難関候補。(2)の二階微分関係が計算の山場で、係数を In へ戻す際の階乗も慎重に扱う。(3)は各 An の整数性だけでなく積分から正であることを押さえ、正整数の部分和が一定値未満という矛盾に結ぶ。

第1解法は標準的な答案構成を詳しく示し、第2解法は異なる着眼または計算経路で同じ結論を独立に確認する。図は条件の役割と解法の流れを可視化した。積分・極限・総和は独立行に置き、分数は表示サイズで組版した。

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出典: 大阪大学 2003年度 後期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。