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大阪大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

2つの複素数z=x+yiw=u+vi
xyuvは実数,i=1は虚数単位)に対し,
xuyvがともに成り立つとき,
z>>wと書くことにする.

(1) 次の条件z2>>3かつzˉ>>5zˉをみたす複素数zの範囲を求め,
複素数平面上に図示せよ.
ただし,zˉzに共役な複素数とする.

(2) (1)で求めた範囲をzが動くとき,
絶対値z3iの最小値,
および最小値をあたえるzを求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

複素数平面図形と方程式 実部虚部比較、軌跡、範囲評価

方針

まず z=x+yi とおき、記号 >> を実部・虚部の連立不等式へ直す。z2>>3 から x2y23xy0 が出る。さらに z>>5/z を整理すると x0 と、y>0 のときだけ x2+y25 が必要になる。領域は x 軸上の半直線と、第1象限の双曲線・円で囲まれる部分の和として図示する。(2)は点 (0,3) からこの領域までの距離の最小化であり、y=0 の半直線と y>0 の有界部分を分けて、後者では x2y2=3x2+y2=5 の交点を調べる。

解答

(1) z=x+yi とおく。まず z2=(x2y2)+2xyi であるから、z2>>3x2y23,2xy0 と同値である。

また z=xyi であり、5z=5xyi=5(x+yi)x2+y2=5xx2+y25yx2+y2iである。したがって z>>5/zx5xx2+y2,y5yx2+y2 と同値である。第1の不等式は x(1+5x2+y2)0 であり、かっこの中は正だから x0 である。

さらに x2y23x0 より x>0 である。2xy0 と合わせると y0 が従う。第2の不等式は y(5x2+y21)0 であるから、y=0 のときは自動的に成り立ち、y>0 のときは x2+y25 でなければならない。

以上より求める範囲は、次の2つを合わせたものである。 y=0,x3 および y>0,x2y23,x2+y25 である。図示すると、x 軸上の (3,0) から右へ伸びる半直線と、第1象限で双曲線 x2y2=3 の右側かつ円 x2+y2=5 の内側にある部分である。この有界部分の上端は x2y2=3,x2+y2=5 の交点、すなわち (2,1) である。

(2) z3i は点 (x,y) と点 (0,3) の距離である。まず y=0x3 の半直線上では z3i2=x2+93+9=12 である。

次に y>0 の有界部分を考える。制約 x2y23x2+y25 から y2+3x25y2 である。よって 2y22 すなわち 0<y1 である。固定した y に対して点 (0,3) に最も近くするには x2 を最小にすればよいので、x2=y2+3 とする。このとき z3i2=x2+(y3)2y2+3+(y3)2 =2y26y+12 である。右辺は 0<y1 で減少するから、最小は y=1 で生じる。このとき x2=1+3=4 であり、x0 より x=2 である。

したがって最小となる点は (2,1)、すなわち z=2+i であり、最小値は 2+i3i=22i=22 である。22<12=23 なので、x 軸上の半直線よりも小さい。

別解

解法2(極形式で領域を読む)

方針

z=r(cosθ+isinθ) とおき、2つの大小条件を偏角と絶対値の条件へ直す。距離の最小化では、各偏角に対して最小半径の双曲線境界を選ぶことを示し、その境界上だけを調べる。

解答

(1) z=r(cosθ+isinθ) (r>0) とおく。z2>>3r2cos2θ3,r2sin2θ0と同値である。またz>>5zから(r+5r)cosθ0,(5rr)sinθ0を得る。

0<α<π/4tanα=1/2 となる角 α をとる。このとき sinα=1/5 である。最初の条件では cos2θ>0 である。これらを合わせると、θ=0 ではr3,θ>0 では0<θα,3cos2θr5となる。直交座標に戻せば、求める範囲はy=0,x3y>0,x2y23,x2+y25の和である。後者の2境界の交点は (2,1) である。

(2)

3i までの距離の平方はD2=r26rsinθ+9.0θα では sinθsinα=1/5 であり、r3>353sinθだから、D2 は固定した θ に対して r とともに増加する。従って有界部分では最小半径の境界x2y2=3だけを調べればよい。

この境界では 0<y1x2=y2+3 なのでD2=x2+(y3)2=2y26y+12.これは 0<y1 で減少し、y=1,x=2 のとき最小値8をとる。x 軸上の半直線では最小でも D2=12 である。

従ってminz3i=22,z=2+i.

総評

独自記号 >> を実部・虚部の連立不等式に直し、複素数平面の領域を決める問題。難度はやや高め、計算量も多めで、目安時間は25〜30分。最大の注意点は、z>>5/z の第2不等式から、y=0 の場合だけ円条件 x2+y25 が不要になることを見落とさないことである。(2)では領域を x 軸上の半直線と有界部分に分け、点 (0,3) への距離をそれぞれ評価する。図だけで (2,1) と決めるのではなく、0<y1x2y2+3 から下限を出すと、答案として説得力が出る。

冊子PDFで見る阪大の複素数平面の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 2001年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。