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大阪大学 2004年度 前期日程 第2次学力試験(数学理系)理系数学 第1問

nを自然数とする.

(1) n個の複素数zk (k=1,2,,n)
0argzkπ2をみたすならば,
不等式z12+z22++zn2z1+z2++zn2
成り立つことを示せ.

(2) n個の実数θk (k=1,2,,n)
0θkπ2かつ
cosθ1+cosθ2++cosθn=1をみたすならば,
不等式n1sinθ1+sinθ2++sinθn
成り立つことを示せ.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安15

複素数平面三角関数論証・証明 実部虚部比較、不等式評価、誘導利用

方針

(1) では zk=xk+yki と置く。偏角が第1象限内にあるので xk,yk0 であり、和の絶対値の2乗を展開すると交差項 xjxk+yjyk がすべて非負になる。(2)では zk=cosθk+isinθk と置くと zk=1 で、実部の和が条件により1になる。(1)を適用してnzk2=1+(sinθk)2を得る。正弦の和は非負なので平方根を取れる。

解答

(1) zk=xk+yki とおく。0argzkπ/2 であるから、zk は第1象限またはその境界上にあり、xk0,yk0 である。

このときz1+z2++zn2=(k=1nxk)2+(k=1nyk)2である。右辺を展開するとz1++zn2=k=1n(xk2+yk2)+21j<kn(xjxk+yjyk)=k=1nzk2+21j<kn(xjxk+yjyk).ここで xj,xk,yj,yk はすべて0以上なので、交差項はすべて0以上である。したがって z12+z22++zn2z1+z2++zn2 である。

(2) zk=cosθk+isinθk とおく。0θkπ/2 だから、0argzkπ/2 であり、(1)を適用できる。また zk=1 である。よって(1)よりn=k=1nzk2k=1nzk2である。

一方、条件よりk=1ncosθk=1であるから、k=1nzk=1+ik=1nsinθkである。したがってk=1nzk2=1+(k=1nsinθk)2である。ゆえにn1+(k=1nsinθk)2となる。 0θkπ/2 なので、sinθk0である。よって平方根を取ってn1k=1nsinθkすなわち n1sinθ1+sinθ2++sinθn が成り立つ。

第1象限のベクトル和

別解

解法2

方針

各複素数を平面ベクトルとみなし,和の絶対値の二乗を内積で展開する。偏角差が [π/2,π/2] に入るので,異なる二つのベクトルの内積が非負になる。

解答

(1)
偏角を ϕk=argzk とする。任意の j<k に対してπ2ϕjϕkπ2だからRe(zjzk)=zjzkcos(ϕjϕk)0.したがってk=1nzk2=k=1nzk2+21j<knRe(zjzk)k=1nzk2.これで (1) が示された。

(2) zk=cosθk+isinθkと置く。各 zk=1 であり,(1) と実部の和の条件からnk=1nzk2=(k=1ncosθk)2+(k=1nsinθk)2=1+(k=1nsinθk)2.正弦の和は非負なのでn1k=1nsinθkを得る。

総評

難度5、計算量3。目安時間は12〜16分。(1)は複素数の不等式というより、第1象限にあるベクトル同士の内積が非負であることを展開で示す問題である。各 zk の実部・虚部が非負であるため、和の長さの2乗には非負の交差項が加わる。(2)では、zk=cosθk+isinθk と置くと実部の和がちょうど1になる設計になっている。最後に正弦の和が非負であることを確認してから平方根を取ると、答案として隙がない。

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出典: 大阪大学 2004年度 前期 理系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。