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大阪大学 2011年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

正数rに対して,a1=0a2=rとおき,数列{an}を次の漸化式で定める.an+1=an+rn(anan1)(n=2,3,4,)ただしanan1から漸化式を用いてan+1を決める際には硬貨を投げ,
表がでたときrn=r2,裏がでたときrn=12rとする.
ここで表がでる確率と裏がでる確率は等しいとする.
anの期待値をpnとするとき,以下の問いに答えよ.

(1) p3およびp4を,rを用いて表せ.

(2) n3のときにpnを,nrを用いて表せ.

(3) 数列{pn}が収束するような正数rの範囲を求めよ.

(4) rが(3)で求めた範囲を動くとき,
極限値limnpnの最小値を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

確率数列 期待値、漸化式の変形微分による最大最小

方針

dn=anan1 に注目する。漸化式から dn+1=rndn であり、rn はそれ以前の硬貨投げで決まる dn と独立なので、期待値の差 pn+1pnλ(pnpn1) となる。ただし λ=E(rn)=(r+1/r)/4 である。したがって差の期待値は等比数列になり、pn は等比和で表せる。収束条件は λ<1、極限値の最小は 4r2/(4rr21) を微分して求める。

解答

(1)

まず λ=E(rn) とおく。硬貨の表裏は等確率なのでλ=12r2+1212r=r+1r4である。

漸化式 an+1=an+rn(anan1) より an+1an=rn(anan1) である。rnanan1 を決める以前の硬貨投げとは独立なので、期待値を取ると pn+1pn=λ(pnpn1) となる。 p1=0p2=r であるから p2p1=r である。したがって p3p2=λr なので p3=r+λr=r+r2+14 である。また p4p3=λ(p3p2)=λ2r だから p4=r+λr+λ2r である。これを r で表すと p4=r+r2+14+(r2+1)216r である。

よってp3=r+r2+14,p4=r+r2+14+(r2+1)216rである。

(2)

上で見たように pn+1pn=λ(pnpn1) であり、初めの差は p2p1=r である。したがって pk+1pk=λk1r(k1) である。ただし k=1 では p2p1=r である。

よって n3 のときpn=p1+(p2p1)+(p3p2)++(pnpn1)=r(1+λ+λ2++λn2)である。すなわちpn=r(1+λ+λ2++λn2),λ=r+1r4である。

(3) r>0 なので λ>0 である。pn は初項 r、公比 λ の等比和で表されるから、{pn} が収束するための必要十分条件は λ<1 である。したがって r+1r4<1 すなわち r+1r<4 である。r>0 なので両辺に r をかけて r24r+1<0 となる。よって (r(23))(r(2+3))<0 であるから 23<r<2+3 である。

(4)

(3) の範囲では λ<1 であるから limnpn=r1λ である。λ=(r+1/r)/4 を代入するとr1λ=r1r+1r4=4r24rr21である。これを F(r)=4r24rr21 とおく。定義域は 23<r<2+3 であり、この範囲では分母は正である。

微分すると F(r)=8r(2r1)(4rr21)2 である。分母は正で、r>0 なので、符号は 2r1 で決まる。したがって F(r)r<12 で減少し、r>12 で増加する。1/2 は (3) の範囲に含まれるので、最小は r=1/2 のときにとられる。

このときF(12)=414412141=134=43である。

別解

解法2

方針

dn=anan1 を硬貨投げで現れる係数の積として明示し、独立性から各積の期待値を直接求める。期待値の漸化式を先に立てず、確率変数 an 自体を積の和に展開する別解である。

解答

(1) ・(2)

差を各硬貨列の積として表す。

dn=anan1 とおくと、d2=r でありdn+1=rndnである。したがってd3=rr2,d4=rr2r3,,dn=rr2r3rn1.一方、a1=0 だからan=d2+d3++dn=r(1+r2+r2r3++r2r3rn1).各回の硬貨投げは独立で、λ=E(rk)=12r2+1212r=r+1r4である。積の期待値は期待値の積になるのでpn=E(an)=r(1+λ+λ2++λn2).特にp3=r+r2+14,p4=r+r2+14+(r2+1)216r.(3)

r>0 だから λ>0 であり、{pn} が収束するための
必要十分条件は λ<1 である。よってr+1r<4を解いて23<r<2+3を得る。この範囲ではlimnpn=r1λ=4r24rr21である。

(4)

F(r)=4r2/(4rr21) とおくとF(r)=8r(2r1)(4rr21)2.したがって最小は r=1/2 のときにとられ、その値はF(12)=43である。

総評

確率付き漸化式だが、値そのものではなく差 anan1 を見ると一気に等比数列になる。rn がその時点の差と独立であるため、期待値を分離できることを明示すると論証が安定する。収束条件は λ<1 であり、r+1/r<4 から範囲を出す。最後の最小値は端ではなく内部の r=1/2 で取られるので、微分の符号変化まで書くと確実である。目安時間は25分程度。

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出典: 大阪大学 2011年度 前期日程 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。