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大阪大学 2011年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

abcを正の定数とし,xの関数f(x)=x3+ax2+bx+cを考える.
以下,定数はすべて実数とする.

(1) 定数pqに対し,次をみたす定数rが存在することを示せ.x1ならばpx+qrx(2) 恒等式(αβ)(α2+αβ+β2)=α3β3を用いて,
次をみたす定数klが存在することを示せ.x1ならばf(x)3xklx(3) すべての自然数nに対して,f(n)3が自然数であるとする.
このとき関数f(x)は,自然数の定数mを用いてf(x)=(x+m)3と表されることを示せ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安35

微分整数論証・証明 不等式評価恒等式比較、一意性証明

方針

(1)x1 なら定数項も x の倍で押さえられることを使う。(2)は k=a/3 と置いて f(x)(x+k)3x2 項を消し、残った一次式を(1)で rx 以下に抑える。さらに立方差の公式を α=f(x)3β=x+k に適用し、分母を x2 以上と評価して l/x 型にする。(3)は f(n)3n が整数であり、かつ固定実数 k に近づくことから、十分大きな n では同じ整数 m に固定されると示す。無限個の自然数で一致する2つの3次多項式は恒等的に等しい。

解答

(1) x1 なら px+qpx+q である。また x1 より qqx であるから px+q(p+q)x である。したがって r=p+q とすれば、求める条件 x1px+qrx が成り立つ。

(2) k=a3 とおく。このとき (x+k)3=x3+3kx2+3k2x+k3 であり、3k=a なので x2 の係数が f(x) と一致する。したがって f(x)(x+k)3 は高々一次式である。実際に f(x)(x+k)3=(b3k2)x+(ck3) である。

(1) より、ある定数 r が存在して、x1 なら f(x)(x+k)3rx が成り立つ。

ここで α=f(x)3,β=x+k とおく。与えられた恒等式 (αβ)(α2+αβ+β2)=α3β3 を用いるとf(x)3(x+k)=f(x)(x+k)3α2+αβ+β2である。 a,b,c は正で、x1 であるから f(x)>0 であり、α>0 である。また k=a/3>0 なので β=x+kx である。よって α2+αβ+β2β2x2 である。したがって f(x)3xkrxx2=rx である。よって l=r とすればよい。

(3)

(2) で得た定数 k,l に対して、すべての自然数 n について f(n)3nkln が成り立つ。仮定より f(n)3 は自然数であるから Mn=f(n)3n は整数である。上の不等式は Mnkln と書ける。 n を十分大きく取れば ln<12 である。このとき整数 Mn は固定された実数 k から距離 1/2 未満の範囲にある。長さ1未満の区間には整数は高々1つしか入らないので、十分大きな n について Mn は同じ整数に等しい。この整数を m とおく。

すると十分大きなすべての自然数 n について f(n)3n=m であるから f(n)=(n+m)3 である。

ここで2つの多項式 f(x)(x+m)3 を考える。これらは十分大きなすべての自然数 n で一致するので、無限に多くの x で一致する。したがって多項式として恒等的に等しい。よって f(x)=(x+m)3 である。

最後に m が自然数であることを確認する。恒等式 f(x)=(x+m)3=x3+3mx2+3m2x+m3f(x)=x3+ax2+bx+c を比べると a=3m,b=3m2,c=m3 である。a,b,c は正なので m>0 であり、また上で m は整数であったから、m は自然数である。

総評

立方根の近似評価から整数値条件を固定する論証問題で、阪大2011の中でも抽象度が高い。(2)で k=a/3 と置く理由は、(x+k)3f(x)x2 項を一致させ、差を一次式まで落とすためである。(3)では「整数が固定実数にいくらでも近づくなら、最終的には一定」という離散性を明確に書く必要がある。無限個の点で一致する多項式は同一、という最後の締めも採点点である。目安時間は35分程度。

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出典: 大阪大学 2011年度 前期日程 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。