方針
(1) は左右それぞれとの差を関数として置き、導関数の符号で示す。(2) はまず log(1+x)<x から下限 0 を、log(1+x)>2x/(x+2) から上限 1/2 を得る。最後に x→0+ と x→∞ の極限を確認し、連続性により開区間全体が値域になることを述べる。
解答
(1) F(x)=log(1+x)−x+2x2 とおく。x>0 で F′(x)=1+x1−1+x=1+xx2>0 であり、F(0)=0 だから F(x)>0 である。よって x−2x2<log(1+x) が成り立つ。
次に G(x)=1+xx−log(1+x) とおく。x>0 で G′(x)=(1+x)3/21+2x−1+x である。ここで 1+x/2>0 であり、(1+2x)2−(1+x)=4x2>0 だから 1+x/2>1+x である。したがって G′(x)>0、また G(0)=0 より G(x)>0 である。ゆえに log(1+x)<1+xx が成り立つ。
(2) x>0 では log(1+x)<x だから、分母が正であることに注意して log(1+x)1−x1>0 である。
上からの評価を作るため、H(x)=log(1+x)−x+22x とおく。すると H′(x)=1+x1−(x+2)24=(1+x)(x+2)2x2>0 であり、H(0)=0 だから log(1+x)>x+22x である。よって log(1+x)1<2xx+2 となり、log(1+x)1−x1<2xx+2−x1=21 を得る。したがって常に 0<y<21 である。
端の値を確認する。x→0+ では、(1) の左側の不等式と log(1+x)<x から 1−2x<xlog(1+x)<1 なので log(1+x)/x→1 である。また x−log(1+x)=∫0x1+uudu であり、0≦u≦x で 1/(1+x)≦1/(1+u)≦1 だから 2(1+x)x2≦x−log(1+x)≦2x2 である。したがって log(1+x)1−x1=xlog(1+x)x−log(1+x)→21 である。
一方、x→∞ では log(1+x)→∞ かつ x→∞ なので log(1+x)1−x1→0 である。関数 y は x>0 で連続であり、上の2つの極限により 0 と 1/2 にいくらでも近い値をとる。したがって値域は 0<y<21 である。
別解
解法2
方針
(1) の左側は log(1+x) の積分表示と 1/(1+t)>1−t を使う。右側は u=1+x とおき,u−u−1−2logu の単調性で示す。(2)は与えられた右側の不等式が,関数 y の導関数が負であることと同値になる点を使い,端点極限と合わせて値域を決める。
解答
(1)
0≦t≦x では1+t1−(1−t)=1+tt2≧0であり,t>0 では狭義不等号が成り立つ。したがってlog(1+x)=∫0x1+tdt>∫0x(1−t)dt=x−2x2.次にu=1+x>1とおく。示すべき右側の不等式は2logu<u−u1である。そこでϕ(u)=u−u1−2loguとおけばϕ′(u)=1+u21−u2=u2(u−1)2>0であり,ϕ(1)=0。よって u>1 で ϕ(u)>0 となり,log(1+x)<1+xxを得る。
(2) Y(x)=log(1+x)1−x1とおく。微分するとY′(x)=x21−(1+x){log(1+x)}21.(1)の右側から(1+x){log(1+x)}2<x2であるためY′(x)<0.したがって Y は x>0 で狭義単調減少する。
またx−log(1+x)=∫0x1+ttdtより2(1+x)x2≦x−log(1+x)≦2x2.さらに log(1+x)/x→1 だからx→+0limY(x)=x→+0limxlog(1+x)x−log(1+x)=21.一方,x→∞limY(x)=0.連続かつ狭義単調減少で,どちらの端点値も取らないので,値域は0<y<21である。
総評
難度6、目安時間25分。(1)は差を微分する方法のほか,積分比較と u=1+x の置換でも証明できる。(2)では (1) の上側の不等式がY′(x)<0を直接与える。値域は単なる評価 0<Y<1/2 だけでなく,x→+0 で 1/2,x→∞ で0へ近づくことと,連続・単調性を明記して開区間全体と結論する。積分はすべて独立表示に整えた。
冊子PDFで見る阪大の指数・対数の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 2018年度 前期日程 第2次学力試験 数学(理系)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。