方針
、 とおくと、 である。条件から と が単位直交ベクトルになることをまず示す。(2) では と座標化し、中心 、半径 の円板を半平面 で切った領域で、原点からの距離の最大・最小を調べる。
解答
(1) とおく。条件より である。また だから である。与えられた内積条件は と書ける。両辺を3倍して である。 より を得る。したがってである。
(2)
(1) より は互いに垂直な単位ベクトルである。平面上の任意の点 について と表すと、 である。
さらに なので、1つ目の条件は となる。2つ目の条件はである。したがって の動く範囲は、中心 、半径 の円板のうち、直線 の左側である。
最小値を考える。原点 から中心 までの距離はであり、これは半径 より大きい。したがって円板全体での最短距離は である。この最短点は中心から原点方向に半径だけ進んだ点で、座標は であるから、確かに をみたす。よってこの値が条件下での最小値である。
次に最大値を考える。領域の境界は、円周の左半分と線分 からなる。線分上では だから、 の最大は のときで、値は である。
円周の左半分ではとおける。このとき である。 のもとでは、 なら 、 なら である。したがって であり、等号は のとき成り立つ。よって円周上でも最大の は である。
以上からである。
別解
解法2(距離の不等式で直接評価する方法)
方針
, が単位直交ベクトルであることを使い, とおく。最小値は三角不等式で評価し,最大値は円板条件を展開して と合わせることで,境界を媒介変数表示せず直接上から押さえる。
解答
(1) とおく。 であり, だから,与えられた内積条件はとなる。よって であり, を得る。したがって求める内積は である。
(2) とおくと,条件はとなる。領域は次図の青い半円板である。
中心を表すベクトルを とすれば である。円板条件と三角不等式から等号を与える点はで, を満たす。したがって最小値は である。
次に円板条件を展開するとまた円板全体で であり,半平面条件から だから である。(1) より等号は で成り立つ。よって最大値は である。
総評
与えられた複雑なベクトルを、単位直交基底に作り替える発想が核心である。目安時間は20〜25分。(1) の値 は単なる計算結果ではなく、(2) で座標平面として使うための準備になっている。最小値は円板全体の最近点が半平面内に残るかを確認し、最大値は切り落とされた右上方向ではなく直径の上端で出る点を明示すると、図形的な答案として安定する。 大阪大学公式の出題意図どおり,内積・長さの基本計算から直交座標を設定し,不等式が表す領域を正確に読む問題である。境界走査と直接不等式評価の2通りを相互検算に使える。