Evolton

大阪大学 2023年度 前期日程 一般選抜理系数学 第1問

nを2以上の自然数とする.

(1) 0x1のとき,次の不等式が成り立つことを示せ.12xn(1)n{1x+11k=2n(x)k1}xn12xn+1(2) an=k=1n(1)k1kとするとき,次の極限値を求めよ.limn(1)nn(anlog2)

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

数列積分関数 不等式評価定積分評価、はさみうち

方針

(1) は有限等比和を用いて、括弧内そのものを (x)n1+x に簡約する。あとは 0x1 における 11+x の上下評価に帰着する。(2) は (1) を 0 から 1 まで積分し、左辺が交代調和級数の誤差 (1)n(log2an) になることを確認してから、n 倍してはさみうちを使う。

解答

(1)
まず1+k=2n(x)k1=j=0n1(x)j=1(x)n1+xである。したがって1x+11k=2n(x)k1=11+x1(x)n1+x=(x)n1+xとなる。両辺に (1)n をかけると(1)n{1x+11k=2n(x)k1}=xn1+xである。

ここで 0x1 なら 11+x12=1x2(1+x)0 である。また 1x211+x=x(1x)2(1+x)0 だから 1211+x1x2 が成り立つ。これに xn0 をかけて 12xnxn1+xxn12xn+1 を得る。先ほどの等式に戻せば、求める不等式が示された。

(2)
(1) の中央の式を 0 から 1 まで積分する。左辺の括弧内について01(11+x1k=2n(x)k1)dx=log21k=2n(1)k1k=log2anである。よって (1)n(log2an)=01xn1+xdx である。

(1) の不等式を積分すると0112xndx(1)n(log2an)01(xn12xn+1)dxである。すなわち12(n+1)(1)n(log2an)1n+112(n+2)=n+32(n+1)(n+2)となる。

両辺に n をかけるとn2(n+1)(1)nn(log2an)n(n+3)2(n+1)(n+2)であり、左右の端はどちらも 12 に収束する。はさみうちの原理より limn(1)nn(log2an)=12 である。求める極限は符号が反対なので limn(1)nn(anlog2)=12 である。

別解

解法2(1/2まわりの精密評価)

方針

有限等比和から中央の式を xn/(1+x) に直す点は同じだが,(2) では 1/(1+x)1/2 のまわりで上下から一次式評価する。積分余項 En に対して標準解法より少し鋭い上下界を作り,直接 nEn1/2 を示す。

解答

(1)
有限等比和より1+k=2n(x)k1=1(x)n1+xだから,問題の中央の式は(1)n{11+x1k=2n(x)k1}=xn1+xに等しい。0x1 では1211+x1x2であるから,両辺に xn を掛ければ問題の不等式を得る。

(2) En=(1)n(log2an)=01xn1+xdxとおく。ここで 0x1 において3x411+x2x2(1)が成り立つ。実際,左側は11+x3x4=(1x)24(1+x)0であり,右側は2x211+x=x(1x)2(1+x)0である。

(1)xn を掛けて積分すると34(n+1)14(n+2)En1n+112(n+2).両辺を整理して n 倍するとn(2n+5)4(n+1)(n+2)nEnn(n+3)2(n+1)(n+2).左右はともに 1/2 へ収束するので nEn1/2 である。求める式は nEn だから,極限値は12である。

総評

交代調和級数の誤差を、問題文の不等式を通して評価する誘導型の極限問題。目安時間は20〜24分。(1) では有限等比和の初項と終項を取り違えないこと、(2) では積分後に log2an が出るため最終的な符号が反転することが重要である。別解を無理に作るより、誘導の等式化、積分、はさみうちの3段階を明確に書く方が採点上強い。 公式出題意図は不等式の証明と,その不等式を利用した数列極限である。標準のはさみうちに加え,1/2まわりの一次式評価で極限の符号と値を再確認した。

冊子PDFで見る阪大の数列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 令和5年度一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。