Evolton

大阪大学 2023年度 前期日程 一般選抜理系数学 第3問

Pを座標平面上の点とし,点Pの座標を(a,b)とする.
πtπの範囲にある実数tのうち,
曲線y=cosx上の点(t,cost)における接線が点Pを通る
という条件をみたすものの個数をN(P)とする.
N(P)=4かつ0<a<πをみたすような点Pの存在範囲を座標平面上に図示せよ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

三角関数微分図形と方程式 接線・法線増減表、場合分け

方針

(a,b) を通る接線条件を b=g(t)=cost+(ta)sint に変え、水平線 y=bg(t) の交点数を数える。導関数は g(t)=(ta)cost なので、臨界点は π2,π2,a である。aπ2 の左か右かで臨界点の順序が変わるため場合分けし、各単調区間に1個ずつ交点を持つための b の範囲を、端点で重複しないよう開区間で表す。

解答

曲線 y=cosxx=t における接線は、傾きが sint であるから y=costsint(xt) である。これが点 P(a,b) を通る条件は b=cost+(ta)sint である。そこで g(t)=cost+(ta)sint(πtπ) とおく。求める N(P) は、水平線 y=by=g(t) の交点数である。

微分すると g(t)=sint+sint+(ta)cost=(ta)cost である。また、必要な値は g(π)=1,g(π)=1, g(π2)=a+π2,g(π2)=π2a,g(a)=cosaである。

まず 0<a<π2 とする。このとき臨界点の順序は π<π2<a<π2<π であり、g(t) の符号から g(t) は順に、増加、減少、増加、減少する。さらに cosa<π2a である。実際、h(a)=π2acosa とおくと、h(a)=sina1<0 かつ h(π2)=0 なので、0<a<π2 では h(a)>0 である。

この場合、4つの単調区間の値域を合わせて見ると、水平線が4回交わるためには、局所最小値 g(a)=cosa より上で、右側の局所最大値 g(π2)=π2a より下でなければならない。逆に cosa<b<π2a なら4つの単調区間それぞれの内部でちょうど1回ずつ交わる。境界で等号になると、t=a または t=π2 で交点が重なり、個数は4にならない。

次に π2<a<π とする。このとき臨界点の順序は π<π2<π2<a<π であり、g(t) は順に、増加、減少、増加、減少する。また π2a<cosa である。これは k(a)=cosa+aπ2 とおくと、k(a)=1sina>0k(π2)=0 から従う。

この場合、中央の谷の値は g(π2)=π2a、右側の山の値は g(a)=cosa である。4つの単調区間すべてで1回ずつ交わるには、右端および左端の値 1 よりも上にあり、かつ中央の谷よりも上にあり、さらに右側の山よりも下にある必要がある。したがって条件は max{1,π2a}<b<cosa である。ここでも等号の場合は端点または極値で交点が重なるため、N(P)=4 にはならない。 a=π2 のときは t=at=π2 が重なり、単調区間が4本に分かれないので、4個の解は生じない。

以上より、求める存在範囲は 0<a<π2,cosa<b<π2a または π2<a<π,max{1,π2a}<b<cosa である。図示すると、左側 0<a<π2 では下側境界が b=cosa、上側境界が直線 b=π2a である。右側では上側境界が b=cosa、下側境界は a=π2+1 までは直線 b=π2a、それ以後は直線 b=1 に切り替わる。すべての境界線は含まれない。

別解

解法2(解の個数が変わる境界を先に求める方法)

方針

接線条件を b=cost+(ta)sint とする。解の個数が変わるのは,解が重解になるときか端点 t=±π を通るときである。重解条件から境界曲線 b=cosab=π/2ab=a+π/2 を先に出し,端点境界 b=1 と合わせて平面を分割し,4解をもつ領域を選ぶ。

解答

接線条件はb=cost+(ta)sintである。左辺へ移した式を H(t)=cost+(ta)sintb とおく。解の個数が変わり得る境界は,区間内部で重解が生じる場合と,端点が解になる場合である。H(t)=(ta)costだから,重解候補は t=a,±π/2 である。これらを H(t)=0 に代入するとb=cosa,b=π2a,b=a+π2を得る。また t=±π ではともに b=1 である。

0<a<π/2 では,4本の単調な枝に対応する値の順序は1<cosa<π2a<a+π2である。したがって4解をもつのはcosa<b<π2aの部分である。

π/2<a<π では π/2a<cosa であり,左右の端点値 1 も下側境界になる。よって4解をもつ条件はmax{1,π2a}<b<cosaである。π/2a=1 となる a=π/2+1 で下側境界が直線 b=1 に切り替わる。重解または端点解を生じる境界上では個数が4にならないので,いずれも含めない。

以上を図示すると次の青い領域である。

総評

接線の本数を、1変数関数と水平線の交点数に翻訳する難度の高い分類問題。目安時間は30〜35分。計算自体は g(t)=(ta)cost と短いが、a=π2 を境に臨界点の順序が変わるため、増減表を省略すると境界を誤りやすい。等号を含めると接線の接点パラメータが重複して個数が減るので、存在範囲はすべて開境界で描くことが採点上の大きな注意点である。 公式出題意図は接線,三角関数,微分,方程式の解の個数を不等式で表して図示する力である。増減表による方法と,重解・端点境界から平面を分割する方法の両方で開境界を確認した。

冊子PDFで見る阪大の三角関数の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 令和5年度一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。