方針
(1) は上からの評価を f′(x)≦0 による単調性で示し,下からの評価を g(x)=f(x)−(1−x) の増加性で示す。g′(x)≧0 は,ex≧cosx+sinx をさらに導関数で確認するとよい。(2) は x=au と置換して積分区間を [0,1] に固定し,(1) の 1−au≦f(au)≦1 で積分全体をはさむ。最後の ∫011/(1+u2)du は u=tanθ で評価する。
解答
(1) f(x)=e−xcosx より f′(x)=−e−x(cosx+sinx) である。0≦x≦π/2 では cosx≧0,sinx≧0 だから f′(x)≦0 である。したがって f(x) はこの区間で減少し,f(x)≦f(0)=1 を得る。
次に下からの評価を示す。 g(x)=f(x)−(1−x) とおくと g′(x)=1−e−x(cosx+sinx) である。ここで h(x)=ex−(cosx+sinx) とおく。すると h′(x)=ex+sinx−cosx であり,さらに h′′(x)=ex+cosx+sinx>0 である。h′(0)=1+0−1=0 だから,0≦x≦π/2 で h′(x)≧0 である。よって h(x) は増加し,h(0)=1−(1+0)=0 なので h(x)=ex−(cosx+sinx)≧0 である。したがって e−x(cosx+sinx)≦1 となり,g′(x)=1−e−x(cosx+sinx)≧0 を得る。よって g(x) は増加し,g(0)=0 であるから g(x)≧0 すなわち f(x)≧1−x である。以上より 1−x≦f(x)≦1 が成り立つ。
(2) x=au と置換する。0<a≦π/2 であり,x=0 から x=a まで動くとき u=0 から u=1 まで動く。dx=adu だからI(a)=∫01a2u2+a2(au+a)f(au)adu=∫01u2+1(u+1)f(au)duである。 0≦u≦1 のとき 0≦au≦a≦π/2 であるから,(1)より 1−au≦f(au)≦1 である。また (u+1)/(u2+1)>0 なので∫01u2+1u+1du−a∫01u2+1u(u+1)du≦I(a)≦∫01u2+1u+1duである。右辺と左辺の差は a∫01u2+1u(u+1)du であり,積分部分は有限な定数である。したがって a→+0 のときこの差は 0 に近づく。はさみうちの原理より a→+0limI(a)=∫01u2+1u+1du である。
最後にこの積分を計算する。∫01u2+1udu=21log(u2+1)01=21log2である。また u=tanθ とおくと,u=0 のとき θ=0,u=1 のとき θ=π/4 であり,∫01u2+11du=∫0π/41dθ=4π である。よって a→+0limI(a)=21log2+4π である。
別解
解法2(凸性と誤差評価を用いる方法)
方針
f′′(x)≧0 から凸性を使い,接線による下側評価 f(x)≧1−x を短く導く。置換後は極限と積分の交換を言葉だけで済ませず,∣f(au)−1∣ の一様な上界から積分誤差を直接 0 に抑える。
解答
(1)
まずf′(x)=−e−x(cosx+sinx),f′′(x)=2e−xsinxである。0≦x≦π/2 では f′(x)≦0 だからf(x)≦f(0)=1.また同じ区間で f′′(x)≧0 だから f は下に凸であり,グラフは x=0 における接線以上にある。f(0)=1, f′(0)=−1 よりf(x)≧f(0)+f′(0)x=1−x.したがって1−x≦f(x)≦1である。
(2)
次に x=au と置くとI(a)=∫01u2+1(u+1)f(au)du.0≦u≦1 では (1) より0≦1−f(au)≦au.したがってI(a)−∫01u2+1u+1du≦∫01u2+1u+1∣f(au)−1∣du≦a∫01u2+1u(u+1)du.右辺は a→+0 で 0 に収束する。よってa→+0limI(a)=∫01u2+1u+1du=21log2+4π.
総評
難度6,計算量5。想定時間は22分程度。(1) の評価を (2) の誤差評価へ接続する構成が出題の中心である。上側は単調減少,下側は f′′(x)=2e−xsinx≧0 による凸性と x=0 の接線 1−x を使うと最短になる。凸性を使わない場合も,補助関数の導関数の符号を最後まで示す必要がある。(2) では x=au により積分区間を固定し,0≦1−f(au)≦au から誤差が a 倍の有限定数以下であることを書く。典型的な失点は,根拠なく f(au)→1 を積分の中へ入れることと,∫01u/(1+u2)du の係数 1/2 を落とすことである。
冊子PDFで見る阪大の微分の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 2026年度 一般選抜(前期日程)数学(理系・公式問題)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。