方針
まず を帰納法または上三角行列の形から求め、 が右上成分だけをもつ行列であることを確認する。このとき なので、 がすぐ従い、逆行列も決まる。最後は を成分比較し、右上成分が であることから を引き出して矛盾させる。
解答
(1)
まずであるから、自然数 についてである。これは では明らかで、 から への積でも右上成分が となるため、帰納法で示せる。
したがってである。よってである。また である。
(2)
(1) より である。さらに行列の積の順序を逆にしても である。したがって は逆行列をもち、である。
(3)
仮にが を満たすとする。成分を計算するとである。これがに等しいので が成り立つ。
ここで かつ は自然数だから である。したがって より である。すると から である。
これを 、 に代入すると であるから となる。すると となり、先ほど得た に矛盾する。
よって を満たす行列 は存在しない。
別解
解法2
方針
と見て を出す。(3)では なら かつ となることを使う。2次正方行列の恒等式 を成分で確認し、 という矛盾を得る。
解答
(1) とおけば 、 である。積を展開すると2次以上の は消えるのでしたがってよって(2)
同様に も成り立つから(3)
仮に とする。行列式を取るとだから である。また である。について なので 、すなわち である。
2次正方行列では成分計算によりが成り立つ。ここへ を入れると となる。しかしである。実際 は自然数、 だから である。矛盾より、そのような は存在しない。
総評
上三角行列のべきと、成分比較による不可能性を組み合わせる問題。 の右上成分が になることを確認すれば、 から(1)(2)は一気に進む。(3)では、 を使って を先に出すのが重要である。その後 、 と進めると矛盾がはっきりする。 の条件を使い忘れると最後の論理が弱くなる。 成分比較と2次行列の恒等式という独立な矛盾の作り方を収録し、 の使用箇所を明示した。