Evolton

東北大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

行列A=(2sin⁡θ2cos⁡θab),B=(2sin⁡θa2cos⁡θb)において,Aは逆行列A−1をもち,0∘≦θ≦180∘,ab≧0とする.
B=3A−1が成り立つとき,次に答えよ.

(1) Aを求めよ.

(2) Aの表すxy平面上の1次変換によって,円x2+y2=1はどのような図形に移るか.
その方程式を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25分

行列、図形と方程式 恒等式比較、回転・拡大、軌跡

方針

B は A の転置行列なので、条件 B=3A−1 を ATA=3E に直す。これは A の2本の列ベクトルが、ともに長さ 3 で互いに垂直であることを意味する。列の長さと内積条件から cos⁡2θ=1/2 を導き、さらに ab≧0 で θ の候補を絞る。円の移った図形は、長さが常に 3 倍されることから決める。

解答

(1)

与えられた2つの行列を見ると B=AT である。条件 B=3A−1 より AT=3A−1 であるから、右から A を掛けて ATA=3E を得る。これは、A の2つの列ベクトルがともに長さ 3 で、互いに垂直であることを表す。

第1列と第2列はそれぞれ(2sin⁡θa),(2cos⁡θb)である。したがって 2sin⁡2θ+a2=3 4cos⁡2θ+b2=3 22sin⁡θcos⁡θ+ab=0 が成り立つ。 u=cos⁡2θ とおくと、上の2つの長さ条件から a2=1+2u,b2=3−4u である。また内積条件を2乗すると a2b2=8sin⁡2θcos⁡2θ=8(1−u)u である。よって (1+2u)(3−4u)=8u(1−u) となり、整理して 3−6u=0 を得る。したがって cos⁡2θ=12 である。 0∘≦θ≦180∘ かつ sin⁡θ≧0 なので、候補は θ=45∘,θ=135∘ である。θ=45∘ のときは 22sin⁡θcos⁡θ>0 だから、内積条件より ab<0 となり、条件 ab≧0 に反する。したがって θ=135∘ である。

このとき 2sin⁡θ=1,2cos⁡θ=−2 であり、長さ条件から a2=2,b2=1 である。さらに内積条件から ab=2 である。よって (a,b)=(2,1),(a,b)=(−2,−1) の2通りである。

したがって求める行列はA=(1−221)またはA=(1−2−2−1)である。

(2)

(1) で得たどちらの行列についても ATA=3E が成り立つ。点 (x,y) を列ベクトル X とし、移った点を Y=AX とすると ∣Y∣2=YTY=(AX)T(AX)=XTATAX=3XTX=3(x2+y2) である。

もとの点が円 x2+y2=1 上を動くとき、移った点 (X,Y) は X2+Y2=3 を満たす。逆に A は逆行列をもつので、この円周上の各点はもとの円周上の点から移ってくる。したがって求める図形は x2+y2=3 で表される円である。

単位円の像

別解

解法2

方針

逆行列を成分表示して条件を直接比較する。行列式を消去して三角関数と a,b の関係を決め、最後に ATA=3E から像の方程式を得る。

解答

(1) A−1=1det⁡A(b−2cos⁡θ−a2sin⁡θ)である。B=3A−1 の各成分を比較し、両辺に det⁡A を掛けると2sin⁡θ det⁡A=3b,adet⁡A=−6cos⁡θ,2cos⁡θ det⁡A=−3a,bdet⁡A=32sin⁡θ.第2・第3式から、a≠0 の場合は (det⁡A)2=18 が得られ、
第1・第4式も合わせると列の長さはともに 3、内積は0となる。
すなわちATA=3E.この成分条件を解くとθ=135∘,a2=2,b2=1,ab=2.したがってA=(1−221),A=(1−2−2−1).(2)
像の点を y=Ax とすると∣y∣2=xTATAx=3∣x∣2.よって単位円の像はx2+y2=3である。

総評

逆行列条件を長さと直交の条件へ変換する行列問題。目安時間は25分前後。B=AT に気づけば ATA=3E となり、列ベクトルの長さと内積だけで処理できる。cos⁡2θ=1/2 の後、ab≧0 によって 45∘ を除くところが重要である。(2)は個別に点を追うより、∣AX∣2=3∣X∣2 を示すと短く確実である。 2解法の結論を照合し、端点・符号・定義域・必要十分性を再確認した。 図は本文の論証を補助するものであり、縮尺に依存せず結論が得られる。

冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。