方針
A2 を角 θ の回転行列 R とおくと,AA2=A2A から AR=RA が成り立つ。0<θ<π なので sinθ=0 であり,成分比較で A の形を (u−vvu) に絞る。最後に A2 の行列式が1であることから u2+v2=1 を示し,回転行列の形に直す。
解答
角 θ の回転行列をR=(cosθsinθ−sinθcosθ)とおく。仮定より A2=R である。行列の積の結合法則から AR=AA2=A3=A2A=RA が成り立つ。 A=(acbd),C=cosθ,S=sinθ と書く。0<θ<π より S=0 である。AR=RA を成分で書くと(aC+bScC+dS−aS+bC−cS+dC)=(Ca−ScSa+CcCb−SdSb+Cd)である。左上成分を比べると aC+bS=aC−cS より b=−c を得る。また右上成分を比べると −aS+bC=bC−dS より a=d を得る。したがってA=(u−vvu)と書ける。
次に行列式を見る。A2=R であり,回転行列の行列式は1だから (detA)2=det(A2)=detR=1 である。一方,上の形から detA=u2+v2≧0 なので u2+v2=1 である。よって,ある角 ϕ を用いて u=cosϕ,v=sinϕ と表せる。したがってA=(cosϕ−sinϕsinϕcosϕ)となる。これは角 −ϕ の回転を表す行列である。ゆえに A も回転を表す行列である。
別解
解法2
方針
交換関係を使わず、A2 の4成分を回転行列と直接比較する。非自明な回転なので sinθ=0 であり、これが A の対角成分と非対角成分を回転行列の形に強制する。
解答
A2=(a2+bcc(a+d)b(a+d)bc+d2)=(cosθsinθ−sinθcosθ).0<θ<π より sinθ=0 である。非対角成分からb(a+d)=−sinθ,c(a+d)=sinθを得る。したがって a+d=0 かつ c=−b である。
対角成分が等しいことから a2+bc=bc+d2、すなわち(a−d)(a+d)=0である。a+d=0 なので a=d となる。よってA=(a−bba).さらに1=det(A2)=(detA)2=(a2+b2)2であり、a2+b2≧0 だから a2+b2=1 である。
ある実数 ϕ を用いて a=cosϕ, b=sinϕ と書けばA=(cosϕ−sinϕsinϕcosϕ),これは角 −ϕ の回転行列である。
総評
難度は10段階中7、計算量は10段階中5。目安時間は20分。抽象的に見えるが,必要なのは AR=RA の成分比較と行列式だけである。0<θ<π から sinθ=0 と言えるため,b=−c,a=d がきちんと導ける。最後に u2+v2=1 を確認しないと,単なる拡大回転の形で止まってしまうので注意する。 2解法の結論を照合し、端点・符号・定義域・必要十分性を再確認した。図を含む場合は本文との対応と縮尺に依存しない論証も確認している。
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出典: 東北大学 1995年度 前期日程 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。