方針
(1) は Ap の成分から s を直接表し,t>0 により分母 t+3 が3以上であることを使う。(2) は長さの比を2乗しても同値であることを確認し,∣Aa∣/∣a∣=5 と比較して t の2次不等式へ落とす。
解答
(1) Ap=(3214)(1t)=(3+t2+4t)である。問題の表し方 Ap=(xsx) と比べると,t>0 より x=3+t>0 であり,s=3+t2+4t である。したがって s−2=3+t2+4t−2(3+t)=3+t2t−4=3+t2(t−2) となる。よって ∣s−2∣=3+t2∣t−2∣ である。t>0 なので 3+t>3 であり,3+t2≦32 だから ∣s−2∣≦32∣t−2∣ が成り立つ。
(2) まずAa=(3214)(12)=(510)=5(12)=5aである。したがって ∣a∣∣Aa∣=5 である。求める条件は ∣p∣∣Ap∣≦5 であり,両辺は正なので2乗してよい。すなわち 1+t2(3+t)2+(2+4t)2≦25 である。分母 1+t2 は正だから,両辺に掛けて整理する。 (3+t)2+(2+4t)2≦25(1+t2) t2+6t+9+16t2+16t+4≦25+25t2 0≦8t2−22t+12=2(4t−3)(t−2) である。したがって (4t−3)(t−2)≧0 となる。t>0 と合わせると 0<t≦43,2≦t である。
別解
解法2
方針
長さの不等式を二次形式として整理する。右辺の基準ベクトルが A により5倍されることを使い、差 25∣p∣2−∣Ap∣2 を直接因数分解する。
解答
(1) Ap=(3+t,2+4t)なのでs=3+t2+4t,s−2=3+t2(t−2).t>0 より 3+t≧3 だから∣s−2∣=3+t2∣t−2∣≦32∣t−2∣.(2)Aa=(5,10)=5aより∣a∣∣Aa∣=5.そこで両辺を2乗し、右辺から左辺を引くと25∣p∣2−∣Ap∣2=25(1+t2)−{(3+t)2+(2+4t)2}=2(4t−3)(t−2).したがって求める条件は(4t−3)(t−2)≧0.t>0 と合わせて0<t≦43またはt≧2である。
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中5。目安時間は15分から20分。(1) は成分比較だけだが,t>0 から 3+t>0 と言えるため,分母を安心して扱える。(2) はベクトルの長さの不等式を2乗して2次不等式にする問題である。Aa=5a に気づくと右辺の比がすぐ5になり,展開後は (4t−3)(t−2) の符号を t>0 の範囲で読むだけになる。 2解法の結論を照合し、端点・符号・定義域・必要十分性を再確認した。図を含む場合は本文との対応と縮尺に依存しない論証も確認している。
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出典: 東北大学 1995年度 後期日程 文系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。