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東北大学 2019年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

nを2以上の整数とする。金貨と銀貨を含むn枚の硬貨を同時に投げ,裏が出た金貨は取り去り,
取り去った金貨と同じ枚数の銀貨を加えるという試行の繰り返しを考える。
初めはn枚すべてが金貨であり,n枚すべてが銀貨になった後も試行を繰り返す。
k回目の試行の直後に,n枚の硬貨のなかに金貨がj枚だけ残る
確率をPk(j) (0jn)で表す。

(1) P1(j)を求めよ。

(2) Pk(j) (k2)を求めよ。

(3) n=3とする。2回目の試行の直後では金貨が少なくとも1枚残るが,
3回目の試行の直後には3枚すべてが銀貨になる確率を求めよ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

確率 独立性の利用、数え上げ

方針

各初期金貨を個別に追う。ある金貨が k 回目の直後にも金貨として残っているためには、その金貨が k 回すべてで表を出す必要があり、その確率は 2k である。各金貨の表裏は独立なので、残る金貨数は二項分布になる。(3)は「3回目で全て銀貨」から「2回目までに既に全て銀貨」を除くことで、2回目直後には少なくとも1枚残る条件を入れる。

解答

(1)
初めは n 枚すべてが金貨である。1回目の試行の直後に金貨が j 枚残るのは、n 枚のうちちょうど j 枚が表を出す場合である。各硬貨の表裏は独立で、表の確率は 12 だから P1(j)=nCj2n(0jn) である。

(2)
初めにある1枚の金貨に注目する。この金貨が k 回目の試行の直後にも金貨として残っているためには、1回目から k 回目まで、毎回表を出さなければならない。その確率は (12)k=2k である。

初めの n 枚の金貨について、この条件は互いに独立に判定できる。したがって、k 回目の直後に金貨が j 枚残る確率は Pk(j)=nCj(2k)j(12k)nj である。

(3) n=3 とする。3回目の直後に3枚すべてが銀貨である確率は、(2)より P3(0)=(123)3=(78)3 である。この中には、2回目の直後にすでに3枚すべてが銀貨であった場合も含まれる。その確率は P2(0)=(122)3=(34)3 である。

求める事象は、3回目の直後には全て銀貨であり、かつ2回目の直後にはまだ少なくとも1枚の金貨が残っている場合である。よって(78)3(34)3=343512216512=127512である。

別解

解法2(推移式を立てて帰納する)

方針

k 回後に r 枚残っている状態から、次の試行で j 枚残る条件を数えて推移式を作る。二項分布の形を代入し、二項係数の恒等式で同じ形が保たれることを示す。

解答

(1)
1回目の直後に残る金貨は、n 枚のうち表を出した金貨である。よってP1(j)=nCj(12)n.(2)
k 回目の直後に金貨が r 枚残っているとする。次の試行で j 枚残る確率はrCj(12)rであるからPk+1(j)=r=jnPk(r)rCj2r.ここでPk(r)=nCrqr(1q)nr,q=2kと仮定して代入する。nCrrCj=nCjnjCrj よりPk+1(j)=nCj(q2)jr=jnnjCrj(q2)rj(1q)nr=nCj(q2)j(1q2)nj.したがって q/2=2(k+1) となり、(1)を初期値として帰納すればPk(j)=nCj(2k)j(12k)nj.(3)
各金貨が3回目までに少なくとも1回裏を出す確率は 123=7/8 である。よって3回目に全金貨が消えている確率は (7/8)3 である。このうち2回目までに全金貨が消えている確率 (3/4)3 を除けばよいから(78)3(34)3=127512.

総評

難度5、目安時間15分。全体の枚数変化を直接追うより、初めの各金貨が何回連続で表を出したかを見ると一気に二項分布になる。銀貨を投げても金貨に戻ることはないため、金貨の残存は「連続表」の条件だけで決まる。(3)では、3回目で全て銀貨になる確率から、2回目の時点で既に全て銀貨だった場合を引くのが自然である。条件「2回目直後では少なくとも1枚残る」を差で表す点が採点上のポイントである。

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出典: 東北大学 2019年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。