方針
個体数が 1,2,3 になるには、2個を残す分岐がそれぞれ 0,1,2 回だけ起こればよい。Pn(1) と Pn(2) は分岐する世代を直接数える。Pn(3) は、すでに3個になった後は全てが1個ずつ残す必要があるので、Pn+1(3)=p3Pn(3)+2p(1−p)Pn(2) という漸化式で求める。
解答
q=1−p とおく。
第 n 世代で1個であるには、毎回ただ1個を残し続ける必要がある。
したがってPn(1)=pn.第 n+1 世代で2個になるのは、第 n 世代で1個の個体が
2個を残すか、第 n 世代ですでに2個で両方が1個ずつ残す場合である。
よってPn+1(2)=qPn(1)+p2Pn(2),P0(2)=0.Pn(1)=pn を代入して解くとPn(2)=pn−1(1−pn).同様に、第 n+1 世代で3個になる経路は、3個が全て1個ずつ残すか、
2個のうち一方だけが2個を残す場合である。したがってPn+1(3)=p3Pn(3)+2pqPn(2),P0(3)=0.これを繰り返し、上で求めた Pj(2) を代入するとPn(3)=2pqj=1∑n−1p3(n−1−j)Pj(2)=2(1−p)j=1∑n−1p3n−3−2j(1−pj).2つの等比数列の和を計算し、因数分解するとPn(3)=1+p2pn−1(1−pn−1)(1−pn).p=1 の場合にも右辺は0であり、実際に個体数は常に1である。
個体数3までに必要な分岐は、ちょうど2回である
別解
解法2
方針
第 n 世代で3個になるまでには、個体数を1から2へ、
2から3へ増やす分岐がちょうど2回起こる。最初の分岐世代を
r、次の分岐世代を s として、その間と前後で
全個体が1個ずつ残す確率を掛け、全ての r<s について足す。
解答
q=1−p とおく。1個のまま第 n 世代へ至るには、
n 回続けて1個だけ残せばよいからPn(1)=pn.1個から2個への唯一の分岐が第 r 世代から第 r+1 世代
への移行で起こるとする。0≦r≦n−1 であり、
その確率はprqp2(n−r−1)である。したがってPn(2)=r=0∑n−1prqp2(n−r−1)=pn−1(1−pn).次に3個になるには分岐がちょうど2回必要である。第1の分岐を
r、第2の分岐を s とすると0≦r<s≦n−1.第2の分岐では2個のうち一方だけが2個を残すので、その確率は
2pq である。よって、固定した r,s に対応する確率はprqp2(s−r−1)2pqp3(n−s−1)=2q2p3n−r−s−4.したがってPn(3)=2q20≦r<s≦n−1∑p3n−r−s−4.i=n−1−s、j=s−1−r と置き換えるとPn(3)=2q2pn−1i=0∑n−2j=0∑n−2−ip2i+j.2つの等比数列の和を順に計算して整理すればPn(3)=1+p2pn−1(1−pn−1)(1−pn).この式は p=1 のときにも 0 を与える。また n=1
では2回の分岐が起こり得ず、同じ式から P1(3)=0 となる。
総評
小さい個体数だけを追う分岐過程の確率問題。目安時間は27分。個体数が m になるには、2個を残す分岐が m−1 回だけ起こるという見方が重要である。Pn(3) では、2個のうちどちらが分岐するかの係数 2 を落としやすい。式は複雑になるため、漸化式の意味を言葉で補うと答案の信頼性が上がる。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。
東京大学 文系数学 前期 過去問10年
2017–2026年度問題編48ページ・解答編119ページ
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出典: 東京大学 1984年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。