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東京大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

ベンチがk+1個一列に並べてあり,
ABの二人が次のようなゲームをする.
最初Aは左端,Bは右端のベンチにおり,
じゃんけんをして勝った方が他の端に向って一つ隣りのベンチに進み,
負けた方は動かないとする.
また二人が同じ手を出して引き分けとなったときには,
二人とも動かないとする.
こうしてじゃんけんを繰返して早く他の隣のベンチに着いた者を勝ちとする.
一回のじゃんけんで,
Aが勝つ確率,負ける確率,引き分けとなる確率はすべて等しいとき,
次の確率を求めよ.

(1) n回じゃんけんをした後に,二人が同じベンチに座っている確率q

(2) n回じゃんけんをしたとき,
ABの移動回数がそれぞれx回,y回である確率p(x,y)

(3) k=3のときn回のじゃんけんの後に,
まだゲームの勝敗がきまらない確率p,ただしn3とする.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安28

確率場合の数 数え上げ、計算整理

方針

各回を A の勝ち、B の勝ち、引き分けの三種類として数える。未決着なら通常の三項分布を使え、どちらかの移動回数が k になる場合は第 n 回が最後の勝ちである条件を付ける。

解答

n 回までの A,B の移動回数を X,Y とする。各回の三結果は確率 1/3 であり、X=k または Y=k になった時点でゲームは終わる。

(1) 二人が同じベンチにいる条件は X+Y=k である。1Xk1 なら、移動が起きた k 回を選び、すべてが一方だけの勝ちとなる二通りを除くのでnCk(2k2)通りである。(X,Y)=(k,0),(0,k) では第 n 回に初めて端へ着く必要があり、それぞれ n1Ck1 通りである。したがってq={nCk2k2n1Ck3n(nk),0(n<k).(2) 未決着の 0x,y<kx+yn ではp(x,y)=n!3nx!y!(nxy)!.x=k,0y<k,k+yn なら第 n 回が A の最後の勝ちなのでp(k,y)=(n1)!3n(k1)!y!(nky)!.同様に 0x<k,y=k,x+kn ならp(x,k)=(n1)!3nx!(k1)!(nxk)!.これら以外は p(x,y)=0 である。

(3) k=3 で未決着となる条件は X,Y2 である。よってp=x=02y=02n!3nx!y!(nxy)!.負の階乗を含む項を0として整理するとp=n42n3+7n2+2n+443n(n3).

別解

解法2(状態の漸化式と母多項式)

方針

状態 (x,y) への到達確率を一歩前の三状態から更新する。未決着の範囲では更新式を反復した係数が (1+U+V)n の係数になる。吸収境界だけ最後の一歩を分離して各小問を求める。

解答

(2) 未決着状態 (x,y) の確率を Pn(x,y) とするとPn+1(x,y)=13{Pn(x,y)+Pn(x1,y)+Pn(x,y1)}.したがって未決着範囲 x,y<k では、3nPn(x,y)(1+U+V)nUxVy の係数である。よってPn(x,y)=n!3nx!y!(nxy)!.境界 x=k へ入るには、第 n 回直前に (k1,y) にいて最後に A が勝つ必要があるからp(k,y)=13Pn1(k1,y),同様に p(x,k)=Pn1(x,k1)/3 であり、解法1の(2)の式を得る。

(1) 同じベンチの内部状態は x+y=kx,y1 なので、母多項式の次数 k の係数和から両端を除く。両端は吸収境界へ最後の一歩で入る場合を加え直す。したがってq=nCk(2k2)+2n1Ck13n=nCk2k2n1Ck3nである。ただし n<k では0である。

(3) k=3 で未決着である確率は母多項式の U,V の次数がそれぞれ2以下の項の係数和だから3np=1+2n+2n(n1)+n(n1)(n2)+n(n1)(n2)(n3)4.これを整理してp=n42n3+7n2+2n+443nを得る。

総評

難易度7、計算量7。目安時間は28分である。二人が同じベンチにいる条件は X=Y ではなく X+Y=k である。移動回数が k の場合は、それ以前にゲームが終わらないよう第 n 回を最後の勝ちに固定する。未決着状態と吸収境界を同じ三項分布で無条件に数えないことが重要である。

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出典: 東京大学 1986年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。