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東京大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

xy 平面上の一次変換 f が次の3条件をみたすとする。

(i) 点 (1,0)f により第4象限の内部にうつる。

(ii) 点 (0,1)f により第2象限の内部にうつる。

(iii) 点 (1,1)f により第1象限の内部にうつる。

このとき f には逆変換が存在することを示せ。また,点 P の像 f(P) が第1象限の内部にあれば,点 P も第1象限の内部にあることを示せ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安20

図形と方程式ベクトル 座標設定必要十分条件、同値変形

方針

基準となる2点の像を成分で置く。象限条件から得る符号を用いて消去係数が正であることを示し、逆変換を連立一次方程式の解として明示する。

解答

f(1,0)=(p,q),f(0,1)=(r,s)と置く。一次変換の性質からf(x,y)=(px+ry,qx+sy)である。3条件はp>0,q<0,r<0,s>0,p+r>0,q+s>0と同値である。

ここでE=psqr=p(q+s)q(p+r).右辺の2項はともに正なのでE>0.f(x,y)=(X,Y) とするとpx+ry=X,qx+sy=Y.第1式を s 倍したものから第2式を r 倍したものを引き、
第2式を p 倍したものから第1式を q 倍したものを引くとEx=sXrY,Ey=qX+pY.E>0 だから、任意の (X,Y) に対してx=sXrYE,y=qX+pYEがただ1組定まる。したがって f には逆変換が存在する。

さらに X>0,Y>0 なら、s,r,q,p はすべて正なのでsXrY>0,qX+pY>0.よって x>0,y>0 であり、点 P=(x,y) も第1象限の内部にある。

別解

解法2:正の量に置き換えて符号の矛盾を示す

方針

負の成分を正の文字へ置き換えると、3条件は2組の大小関係になる。像が第1象限なのに元の座標が正でないと仮定し、2つの比に互いに矛盾する大小関係を導く。

解答

正の数 a,b を用いてq=a,r=bと書く。条件 (iii) からp>b>0,s>a>0である。したがってf(x,y)=(pxby,ax+sy).まず f(x,y)=(0,0) とする。もし (x,y)(0,0) なら、px=by,ax=syからps=abを得る。しかし p>b かつ s>a なので ps>ab であり、矛盾する。
よって原点へ移る点は原点だけである。一次変換ではこのことから連立式を一意に逆向きに解けるので、逆変換が存在する。

次にpxby>0,ax+sy>0とする。x0 と仮定すると、第1式から y<0 も従う。
u=x>0,v=y>0 と置けばbv>pu,au>sv.したがってvu>pb,vu<as.ところが p/b>1>a/s なので不可能である。ゆえに x>0
同様に y0 と仮定しても x<0 が導かれて同じ矛盾を生じるから、y>0 である。

総評

難度5、計算量4。一次変換を2本の連立一次式として読み、象限条件を係数の符号へ正確に移す問題で、想定時間は20分程度。原問題は行列を明示していないため、行列や行列式には頼らず、消去計算と比の矛盾の2方法で逆変換と第1象限の保存を示した。

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出典: 東京大学 1988年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。