方針
正四面体の各面の面積は一定であり、平面への正射影の面積は「各面の射影面積の和を半分にしたもの」として表せる。四面体を対称な座標に置き、射影方向を単位ベクトル として、4つの面の垂直方向との内積の絶対値の和を評価する。上限はコーシーの不等式、下限は4つの量の和が0であることから導き、等号を与える方向も示す。
解答
一辺の長さが の正四面体を考える。各面は一辺 の正三角形なので、1つの面の面積は である。
正四面体を対称に置くと、4つの面に垂直な単位方向はとしてよい。射影する方向を単位ベクトル とする。
1つの面の正射影の面積は、もとの面積に、面に垂直な方向と のなす角の余弦の絶対値を掛けたものになる。また、凸な多面体では、全ての面の射影面積を足すと、正射影された図形を表側と裏側から1回ずつ数えるため、求める面積の2倍になる。したがって正射影の面積 は である。すなわち ただし である。
ここで とおくと であり、また である。
まず上限を求める。コーシーの不等式より なので である。したがって である。等号は、たとえば のとき となって成立する。よって最大値は である。
次に下限を求める。 の正のものの和を とすると、全体の和が0であるから、負のものの絶対値の和も であり、 である。正の数たちの平方和は高々 、負の数たちの平方和も高々 なので である。したがって となる。よって である。
等号は、たとえば のとき となって成立する。よって最小値は である。
以上より、求める最大値と最小値は である。
別解
解法2:見える面の符号の組合せで評価する
方針
4面の法線方向との内積を と置く。射影面積は正側を向く面の寄与の和であり、正の項が1個か2個かに分けると上限を幾何的に評価できる。下限は正負各群の平方和から得る。
解答
4面の単位法線をとし、射影方向を とする。前解法と同様にただしここで正の の和を とすると である。
正の項が1個なら正の項が2個なら、その和はのいずれかなので 。正の項が3個の場合は負の1項の絶対値に等しく、最初の場合と同じである。
よって一方、正の項の平方和も負の項の平方和も、それぞれ同じ符号の項の和の平方 以下だからしたがって で上の等号、で下の等号が成立する。ゆえに
総評
難度は10段階で7、計算量は10段階で6程度。試験場では35分から40分を見込む。最大・最小を予想するだけなら図から見えるが、一般の向きでその範囲を超えないことを示すのが本問の得点部分である。各面の射影面積の合計が全体の2倍になるという見方を使うと、空間図形の問題が4つの実数の絶対値評価に落ちる。等号成立の向きを最後に示すことで、評価が鋭いことも確認できる。