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東京大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

曲線 C:y=x3x1x1 を平行移動した曲線を考える。点 P を通る平行移動のうち,もとの C と共有点をちょうど1個だけもつものがちょうど3個あるような点 P の範囲を求めよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

関数図形と方程式 軌跡接線・法線、場合分け

方針

P=(X,Y) を通る平行移動を、横方向の移動量 p で表す。移動後の曲線と元の曲線の共有点は2次方程式で決まり、共有点がちょうど1個になるのは、許された区間内で2次式が接するときである。この接触条件は p の3次方程式 G(p)=0 になるので、許される範囲 X1pX+1 内にその解がちょうど3個ある条件を、極大・極小の符号と端点の符号から読み取る。

解答

PP=(X,Y) とおく。元の曲線を C:y=x3x,1x1 とする。

平行移動の横方向の移動量を p、縦方向の移動量を q とする。移動後の曲線は y=(xp)3(xp)+q であり、この曲線が P=(X,Y) を通るためには q=Y{(Xp)3(Xp)} でなければならない。また、点 P が移動後のもとの区間に対応するため、1Xp1 すなわち X1pX+1 が必要である。

元の曲線と移動後の曲線の共有点は x3x=(xp)3(xp)+q で決まる。左辺から右辺を引いた式を Fp(x)=x3x{(xp)3(xp)+q} とおく。p0 のとき、これは x の2次式である。共有点として許される x の範囲は、p>0 のとき p1x1 であり、p<0 のとき 1xp+1 である。

この2次式の軸は x=p2 である。さらに、p>0 のときは区間の両端 p1,1Fp(x) の値が等しく、p<0 のときも区間の両端 1,p+1 で値が等しい。したがって共有点がちょうど1個になるのは、区間内で接する場合、すなわち Fp(p2)=0 のときである。

代入して整理すると、この条件は G(p)=0 と書ける。ただし G(p)=34p33Xp2+3X2pX3+X+Y である。よって、求める問題は、区間 X1pX+1 内に G(p)=0 の解がちょうど3個ある条件を求めることに帰着される。

微分すると G(p)=34(3p2X)(p2X) である。したがって X>0 のとき、p=2X3 で極大、p=2X で極小となる。3個の実数解をもつためには G(2X3)>0,G(2X)<0 が必要十分である。ここで G(2X3)=Y+X19X3,G(2X)=Y+XX3 だから Y>19X3X,Y<X3X である。

さらに3つの解が許された区間 [X1,X+1] に入る必要がある。端点での値は G(X1)=Y14(X1)(X+1)(X3) および G(X+1)=Y14(X+3)(X+1)(X1) である。左端より右で最初の解を持つには G(X1)0 右端より左で最後の解を持つには G(X+1)0 であればよい。したがって X>0 の場合は 0<X<1 かつ Y>19X3X,Y<X3X, Y14(X+3)(X+1)(X1),Y14(X1)(X+1)(X3) である。

次に X<0 の場合は、変換 (X,Y,p)(X,Y,p) により X>0 の場合と対称である。したがって求める範囲は、次の2領域の和集合である。{0<X<1,19X3X<Y<X3X,14(X+3)(X+1)(X1)Y14(X1)(X+1)(X3),または{1<X<0,X3X<Y<19X3X,14(X+3)(X+1)(X1)Y14(X1)(X+1)(X3).端点条件から出る2本の境界は含むが、極大値・極小値が0となって解が重なる境界 Y=19X3XY=X3X は含まない。

別解

解法2:接点を媒介変数にして平行移動を数える

方針

共有点が1個の平行移動では2曲線が接する。元の曲線上の接点を t とすると、移動後の対応点は t となり、移動量を直接表せる。点 P を通る条件を HX(t)=Y とし、許される区間内の交点数を調べる。

解答

f(x)=x3x とする。元の曲線上の x=t で平行移動後の曲線が接するとする。
両曲線の接線の傾きが等しいから3t21=3(tp)21.同じ曲線を0だけ移す場合を除けばp=2t.接点で縦座標も一致させると、縦方向の移動量はq=f(t)f(t)=2f(t).P=(X,Y) が移動後の曲線上にあるための条件はY=f(X2t)+2f(t)=HX(t).また P がもとの定義区間に対応する条件はX12tX+12.微分するとHX(t)=6(3tX)(tX).X>0 の場合、3個の交点を持つには2つの停留点t=X3,t=Xが上の区間内に必要であり、これは 0<X<1 と同値である。各点の値はHX(X3)=X39X,HX(X)=X3X,HX(X12)=14(X1)(X+1)(X3),HX(X+12)=14(X+3)(X+1)(X1).増減をたどると、区間内で HX(t)=Y がちょうど3解を持つ条件は{0<X<1,19X3X<Y<X3X,14(X+3)(X+1)(X1)Y\hfill14(X1)(X+1)(X3).X<0 では原点対称性を用いて{1<X<0,X3X<Y<19X3X,14(X+3)(X+1)(X1)Y\hfill14(X1)(X+1)(X3).を得る。停留値に対応する2境界は重解を生じるので含まず、
定義区間の端に対応する2境界は3個の異なる平行移動を保つので含む。

総評

難度は10段階で8、計算量は10段階で7程度。試験場では45分以上かかっても不自然ではない難問である。平行移動そのものを直接数えるのではなく、横方向の移動量 p によって1変数化するのが中心である。共有点1個の条件は「2次式の接触」であり、その接触条件が p の3次方程式になる。最終答案では、極大・極小の符号で3解条件を出す部分と、[X1,X+1] に3解が入る端点条件を分けて書くと、境界の含む・含まないが整理しやすい。

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出典: 東京大学 1988年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。