方針
点 を通る平行移動を、横方向の移動量 で表す。移動後の曲線と元の曲線の共有点は2次方程式で決まり、共有点がちょうど1個になるのは、許された区間内で2次式が接するときである。この接触条件は の3次方程式 になるので、許される範囲 内にその解がちょうど3個ある条件を、極大・極小の符号と端点の符号から読み取る。
解答
点 を とおく。元の曲線を とする。
平行移動の横方向の移動量を 、縦方向の移動量を とする。移動後の曲線は であり、この曲線が を通るためには でなければならない。また、点 が移動後のもとの区間に対応するため、 すなわち が必要である。
元の曲線と移動後の曲線の共有点は で決まる。左辺から右辺を引いた式を とおく。 のとき、これは の2次式である。共有点として許される の範囲は、 のとき であり、 のとき である。
この2次式の軸は である。さらに、 のときは区間の両端 で の値が等しく、 のときも区間の両端 で値が等しい。したがって共有点がちょうど1個になるのは、区間内で接する場合、すなわち のときである。
代入して整理すると、この条件は と書ける。ただし である。よって、求める問題は、区間 内に の解がちょうど3個ある条件を求めることに帰着される。
微分すると である。したがって のとき、 で極大、 で極小となる。3個の実数解をもつためには が必要十分である。ここで だから である。
さらに3つの解が許された区間 に入る必要がある。端点での値は および である。左端より右で最初の解を持つには 右端より左で最後の解を持つには であればよい。したがって の場合は かつ である。
次に の場合は、変換 により の場合と対称である。したがって求める範囲は、次の2領域の和集合である。または端点条件から出る2本の境界は含むが、極大値・極小値が0となって解が重なる境界 、 は含まない。
別解
解法2:接点を媒介変数にして平行移動を数える
方針
共有点が1個の平行移動では2曲線が接する。元の曲線上の接点を とすると、移動後の対応点は となり、移動量を直接表せる。点 を通る条件を とし、許される区間内の交点数を調べる。
解答
とする。元の曲線上の で平行移動後の曲線が接するとする。
両曲線の接線の傾きが等しいから同じ曲線を0だけ移す場合を除けば接点で縦座標も一致させると、縦方向の移動量は が移動後の曲線上にあるための条件はまた がもとの定義区間に対応する条件は微分すると の場合、3個の交点を持つには2つの停留点が上の区間内に必要であり、これは と同値である。各点の値は増減をたどると、区間内で がちょうど3解を持つ条件は では原点対称性を用いてを得る。停留値に対応する2境界は重解を生じるので含まず、
定義区間の端に対応する2境界は3個の異なる平行移動を保つので含む。
総評
難度は10段階で8、計算量は10段階で7程度。試験場では45分以上かかっても不自然ではない難問である。平行移動そのものを直接数えるのではなく、横方向の移動量 によって1変数化するのが中心である。共有点1個の条件は「2次式の接触」であり、その接触条件が の3次方程式になる。最終答案では、極大・極小の符号で3解条件を出す部分と、 に3解が入る端点条件を分けて書くと、境界の含む・含まないが整理しやすい。