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東京大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

xy 平面上で原点から傾き a (a>0) で出発し折れ線状に動く点 P を考える。ただし,点 Py 座標はつねに増加し,その値が整数になるごとに動く方向の傾きが s(s>0) に変化するものとする。

P の描く折れ線が直線 x=b (b>0) を横切るための abs に関する条件を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

数列図形と方程式 漸化式の変形和の計算必要十分条件

方針

傾きは通常 dy/dx なので、高さが1増える間の横方向の増加量は傾きの逆数になる。n 番目の帯での傾きは asn だから、整数の高さに達した時点の x 座標は等比級数で表せる。0<s1 では横方向に無限に進み、s>1 では有限の上限に近づくため、直線 x=b を横切る条件はその上限との比較になる。

解答

通常の傾きは dy/dx である。したがって傾きが m の直線上を、y 座標が1だけ増えるとき、x 座標の増加量は 1m である。

最初、0y1 での傾きは a である。y が整数を通過するたびに傾きが s 倍されるので、一般に nyn+1 での傾きは asn である。よってこの帯を通過する間の x 座標の増加量は 1asn である。

したがって、点 P が高さ y=N に達したときの x 座標を xN とすると xN=1a(1+1s+1s2++1sN1) である。

まず 0<s1 の場合を考える。このとき 1/s1 であるから、和 1+1s++1sN1N で限りなく大きくなる。したがって xN も限りなく大きくなり、任意の b>0 に対して、折れ線は直線 x=b を横切る。

次に s>1 の場合を考える。このとき等比級数の和は上限をもち、limNxN=1a111/s=sa(s1) である。折れ線の x 座標は増加しながらこの値に近づく。したがって、直線 x=b を横切るための必要十分条件は b<sa(s1) である。等号の場合は有限の高さでは到達せず、近づくだけなので横切らない。

以上より条件は0<s1またはs>1 かつ b<sa(s1)である。

別解

解法2:各高さから先の残り距離を調べる

方針

高さ n から先へ進める横距離を考える。s>1 では残り距離が等比的に縮んで有限値になり、s1 では縮まらない。この全移動可能距離と b を比較する。

解答

高さ n から n+1 までの傾きは asn だから、その間の横移動はΔxn=1asn.0<s1 ならΔxn1aであり、横方向の総移動距離は限りなく大きくなる。したがって任意の b>0 に対して直線 x=b を横切る。

s>1 とする。高さ n から先に進める横距離 RnRn=1asn+1asn+1+=s1na(s1).特に原点から先へ進める全横距離の上限はR0=sa(s1).折れ線の x 座標は連続かつ単調増加で、この値そのものには有限の高さで到達しない。
よって s>1 ではb<sa(s1)が必要十分である。

以上をまとめると0<s1またはs>1 かつ b<sa(s1).

総評

難度は10段階で6、計算量は10段階で5程度。試験場では25分から30分を見込む。傾き adx/dy と取り違えると条件が逆になるので、まず1段上がる間の横方向の増加量を 1/(asn) と確認することが大切である。s>1 のときだけ有限の上限が現れ、等号では到達しない点が落とし穴になる。

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出典: 東京大学 1988年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。