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東京大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

ある会社である工事を受注した.
その工事はまず第1工程,第2工程,検査の順に行い,3つの作業はそれぞれ1日を必要とする.
検査では第1工程,第2工程に欠陥があるかないかがわかる.
検査の結果第1工程に欠陥があれば,工事は第1工程,第2工程ともやり直し,改めて検査をする.
第1工程に欠陥がなく第2工程のみに欠陥があれば,第2工程のみやり直して検査する.
これらの作業は日曜日を除いて引き続いて行い,検査の結果第1,第2工程ともに欠陥がなければ工事は終了する.
各工程ではそれまでの経過とは独立に確率pで欠陥が発生するものとする.
月曜日から工事を始めた場合n週間以内にその工事が終了する確率をP(n)とする.

(1) P(1)を求めよ.

(2) P(n)を求めよ.

(3) p=12のとき1P(n)<11000を満たす最小の正整数nを求めよ.

難易度8/ 10計算量8/ 10目安35

確率数列 状態分類、独立性の利用、数え上げ和の計算

方針

n週間を 6n 作業日と数える。両工程のやり直し回数を j、第2工程だけのやり直し回数を i とし、所要日数 3+2i+3j と確率を数える。

解答

q=1p とおく。第1工程の欠陥により両工程をやり直す回数を j、第2工程だけをやり直す回数を i とする。この後に両工程が合格する確率は q2pi+j、作業日数は 3+2i+3j である。

(1) 1週間は6作業日なので、可能な (i,j)(0,0),(1,0),(0,1) である。よってP(1)=q2(1+2p)=13p2+2p3.(2)P(n)=q2i,j02i+3j6n3pi+j.j=0,,2n1 として内側の等比数列を足し、j=2k,2k+1 を組にすると、打ち切られる項の指数はいずれも 3n1k となる。したがってP(n)=1p2n2p2n(1pn)=13p2n+2p3n.(3) p=1/2 のとき1P(n)=34n28n.n=5 では 47/16384>1/1000n=6 では 95/131072<1/1000 であり、この値は n とともに減少する。よって最小の正整数は n=6 である。

別解

解法2

方針

第1工程が不良となる回数と、第1工程合格後に第2工程だけを直す回数を独立な幾何分布として扱う。所要作業日数の条件を数え上げる。

解答

q=1p とする。第1工程が不良となって全工程をやり直す回数を
J、第1工程が合格した後に第2工程だけをやり直す回数を I とする。
独立性からPr(J=j,I=i)=q2pi+j(i,j0).作業日数はT=3(J+1)+2Iである。

(1)
6作業日以内では (I,J)=(0,0),(1,0),(0,1) が可能なのでP(1)=q2(1+2p)=13p2+2p3.(2)P(n)=q2i,j02i+3j6n3pi+j.j=0,,2n1 として i の等比和を取り、
j=2kj=2k+1 を組にするとP(n)=13p2n+2p3n.確認として n=1 を代入すると (1) と一致する。またP(n+1)P(n)=p2n(1p){3(1+p)2pn(1+p+p2)}>0であり、週数とともに確率が増えることとも整合する。

(3)
p=1/2 のとき1P(n)=34n28n.1P(5)=4716384>11000,1P(6)=95131072<11000.上式は n とともに減少するので、最小の正整数はn=6である。

総評

難度は8、計算量は8。日曜を除く1週6作業日、2種類のやり直し日数、幾何分布の独立性を照合した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、図の縮尺に依存しない式による説明も併記している。

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出典: 東京大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。