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東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

1つのサイコロを続けて投げて,それによってan(n=1,2,)を次のように定める。

出た目の数を順にc1,c2,とするとき,1kn1を満たすすべての整数kに対してckcnならばan=cn,それ以外のときan=0とおく。ただし,a1=c1とする。

(1) anの期待値をE(n)とするとき,limnE(n)を求めよ。

(2) a1,a2,,anのうち2に等しいものの個数の期待値をN(n)とするとき,limnN(n)を求めよ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安12

確率数列 期待値、和の計算極限計算状態分類

方針

an=j となるには,n 回目に j が出て,それ以前のすべての目が j 以下であればよい。この条件をそのまま確率に直すと P(an=j) が得られ,期待値 E(n) は有限和で表せる。(2)は「2に等しい個数」を各回の指示量の和と見て,期待値を P(ak=2) の和に分解する。別の考え方として,2が数えられるのは初めて3以上が出る前に限られることから,停止までに出る2の個数の期待値としても求められる。

解答

(1) 1j6 とする。an=j となるのは,cn=j であり,かつ c1,c2,,cn1 がすべて j 以下であるときである。したがって P(an=j)=16(j6)n1 である。

よって期待値はE(n)=j=16jP(an=j)=j=16j16(j6)n1=j=16(j6)nである。この和のうち j=6 の項は常に 1 であり,1j5 の項は n0 に近づく。したがってlimnE(n)=1である。

(2) ak=2 となるのは,ck=2 であり,かつ c1,c2,,ck1 がすべて 2 以下であるときである。したがってP(ak=2)=16(26)k1=16(13)k1である。 a1,a2,,an のうち2に等しいものの個数は,各 k についての事象 ak=2 の指示量を足したものである。期待値は和に分けられるからN(n)=k=1nP(ak=2)=k=1n16(13)k1=161(1/3)n11/3=14{1(1/3)n}である。よってlimnN(n)=14である。

別解

解法2

方針

(1) は最初のn1回に6が出たかどうかで分ける。6が出ていればanの条件付き期待値はちょうど1であり,まだ出ていない事象の確率は0へ収束する。(2)は「初めて3以上が出るまでに現れる2の個数」と見て,残り回数に関する漸化式を立てる。

解答

(1)

最初のn1回に少なくとも1回6が出る事象をHnとする。この事象の確率はP(Hn)=1(56)n1.Hnが起きているとき,an0となるのはcn=6のときだけである。したがってHnのもとでのanの期待値は616=1.一方,Hnが起きていない場合でも0an6である。よってP(Hn)E(n)P(Hn)+6{1P(Hn)}.nのとき両端はともに1へ収束するから,limnE(n)=1.(2)

ak=2となるのは,最初に3以上の目が出る前に2が出たときに限る。最初のn回について,初めて3以上が出るまでに現れる2の個数の期待値をMnとする。これはN(n)に等しい。

第1投が2なら1個を数えて同じ問題がn1回残り,第1投が1なら個数を増やさず同じ問題が残る。第1投が3以上ならそこで終了する。したがってMn=16(1+Mn1)+16Mn1,M0=0.すなわちMn=16+13Mn1.この漸化式を解くとMn=14(M014)(13)n=14{1(13)n}.よってlimnN(n)=limnMn=14.

総評

記録更新型の定義を確率に直す問題である。難易度は5,計算量は4程度で,想定時間は12分前後。an=j では過去の目が j 以下でよく,j 未満ではない点が最も間違えやすい。(2)は個数の期待値を各回の確率の和として処理すれば,事象同士が独立でなくても問題ない。別の考え方のように「初めて3以上が出るまで」と見れば,1/4 という値の意味も確認できる。 2解法の結論を相互照合し,定義域,端点,場合分け,図示範囲を確認した。

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出典: 東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。