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東京大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

xy平面上の2点PQに対し,PQx軸またはy軸に平行な線分からなる折れ線で結ぶときの経路の長さの最小値をd(P,Q)で表す。

(1) 原点O(0,0)と点A(1,1)に対し,d(O,P)=d(P,A)を満たす点P(x,y)の範囲をxy平面上に図示せよ。

(2) 実数a0に対し,点Q(a,a2+1)を考える。次の条件を満足する点P(x,y)の範囲をxy平面上に図示せよ。

(*) 原点O(0,0)に対し,d(O,P)=d(P,Q)となるようなa0が存在する。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

図形と方程式関数 絶対値の処理、場合分け、軌跡、範囲評価

方針

折れ線距離は絶対値の和で表される。(1)はx+y=x1+y1を,x=0,1y=0,1で式が変わることに注意して整理する。
(2)では,まずa0を固定し,Q=(a,a2+1)に対する等距離集合を求める。a2+1>aなので,固定したaでの軌跡は左水平半直線,中央の斜め線分,右水平半直線の3部分になる。最後にaを動かして合併し,x00x1/2x1/2に分けて下端を求める。

解答

(1) P=(x,y)とする。条件は x+y=x1+y1 である。 ϕ(x)=xx1ψ(y)=yy1とおくと,条件はϕ(x)+ψ(y)=0である。ここでϕ(x)={1(x0),2x1(0x1),1(x1),ψ(y)={1(y0),2y1(0y1),1(y1)である。 x0ではϕ(x)=1なのでψ(y)=1,すなわちy1である。 0x1ではψ(y)=12xであり,0y1の式からy=1xである。 x1ではϕ(x)=1なのでψ(y)=1,すなわちy0である。

よって求める範囲は {(x,y)x0, y1}{(x,y)0x1, y=1x}{(x,y)x1, y0} の和集合である。

(2) a0を固定する。点Q=(a,a2+1)に対する条件は x+y=xa+y(a2+1) である。ここでb=a2+1とおくと,ba=a2a+1>0である。 ϕa(x)=xxaψb(y)=yybとおく。条件はϕa(x)+ψb(y)=0である。 x0ではϕa(x)=aなのでψb(y)=aである。0a<bだから,これは0ybの範囲で 2yb=a となり,y=a+b2=a2+a+12 である。 0xaではϕa(x)=2xaなのでψb(y)=a2xである。したがって 2yb=a2x より y=a+b2x=a2+a+12x である。 xaではϕa(x)=aなのでψb(y)=aである。よって 2yb=a から y=ba2=a2a+12 である。

以上より,固定したaでの等距離集合は y=a2+a+12(x0), y=a2+a+12x(0xa), y=a2a+12(xa) の3部分からなる。

これをa0について合併する。

まずx0では y=a2+a+12 であり,右辺はa0で最小値1/2をとり,その後いくらでも大きくなる。したがって y12(x0) である。

次にx0を考える。中央の斜め部分を通るにはaxが必要であり,そのとき y=a2+a+12x である。この右辺はa0で増加するので,a=xのとき最小となり yx2x+12 を与える。

一方,右水平部分を通るには0axが必要であり,そのとき y=a2a+12=(a12)2+38 である。 0x1/2では,0axの範囲でこの値はa=xのとき最小となるので,下端は x2x+12 である。 x1/2では,a=1/2を選べるので最小値は 38 である。さらに右水平部分で得られる値と中央部分で得られる値がつながるため,この下端以上のすべての点が得られる。

したがって求める範囲は{y12(x0),yx2x+12(0x12),y38(x12)である。図では,左側は水平線y=1/2以上,中央は放物線y=(x2x+1)/2以上,右側は水平線y=3/8以上を塗る。

別解

解法2

方針

固定した a の等距離線を3部分に分けた後、逆に各 x で取り得る y の最小値を最適化する。最後に境界以上の全点が実現することを構成的に確認する。

解答

(1) x+y=x1+y1x=0,1y=0,1 で場合分けすると{x0, y1}{0x1, y=1x}{x1, y0}を得る。

(2)
b=a2+1 とする。b>a であり、固定した a の等距離集合はy=(a2+a+1)/2,x0,y=(a2+a+1)/2x,0xa,y=(a2a+1)/2,xa.ここから a を動かす。

x0 では (a2+a+1)/2a0
1/2 以上の全値を取る。x0 では、斜め部分の条件 ax
から得る下端はx2x+12.右水平部分では 0ax のもとでa2a+12=12(a12)2+38を最小化する。よって 0x1/2 では a=x
x1/2 では a=1/2 が最小である。各式は a の連続関数で
上方へ無限に伸び、2つの部分の値域も端点で接続するから、下端以上の全値を取る。
したがって求める範囲は{y12(x0),yx2x+12(0x12),y38(x12).

総評

難度は8、計算量は7。固定パラメータの等距離線の合併が境界線だけでなく上方領域全体になることを確認した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、図の縮尺に依存しない式による説明も併記している。

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出典: 東京大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。