方針
各表示値を生じる整数の個数の二乗和として確率を表す。まずN=10000+kを微分で調べ、一般のN=10000m+kはコーシー・シュワルツによる下界と連続変数での上界で評価する。
解答
(1)
N=10000では10000種類の表示が各1回ずつ対応するのでp10000=100001.(2)
N=10001では一つの表示だけが2個の整数に対応し、残り9999種類は1個ずつ対応する。従ってp10001=10001222+9999=10001210003>100001.差はp10001−p10000=10000⋅1000129999≒9.997×10−9.有効数字1桁では1×10−8である。
(3)
N=10000+k (0≦k≦10000)とおくと、k種類が2回、10000−k種類が1回現れるからpN=(10000+k)24k+(10000−k)=(10000+k)210000+3k.右辺を実数kの関数とみなすと、導関数の符号は10000−3kの符号に一致する。従って整数ではk=3333,3334を比較し、最大はk=3333でr=p13333=17776888919999.最小は端点で実現し、両端の値が1/10000なのでq=100001.(4)
一般に各表示値を生じる整数の個数をc1,…,c10000とすれば、∑cj=NかつpN=N2∑cj2.コーシー・シュワルツの不等式からN2≦10000∑cj2なのでpN≧qである。
次にN=10000m+k (m≧1,0≦k<10000)とおく。k種類の個数がm+1、残りがmだからpN=(10000m+k)210000m2+(2m+1)k.m=1は(3)よりpN≦rである。m≧2では、右辺を実数kで最大化するとk=10000m/(2m+1)であり、その値は100001(1+4m(m+1)1)≦96001.さらに96001<17776888919999=rだからpN<rである。以上より、すべてのN≧10000でq≦pN≦rが成り立つ。
別解
解法2(商と余りから誤差項を分離)
方針
N=10000m+k とし、各4桁表示の出現回数が m または m+1 になることを使う。確率を 1/10000 と非負の誤差項の和に変形すれば下限が直ちに出る。上限は m=1 を整数で厳密に調べ、m≥2 を連続最大値で一括評価する。
解答
N=10000m+k とおく。ただし m≥1, 0≤k<10000 である。k 種類の表示が m+1 回、残りが m 回現れるのでpN=N2k(m+1)2+(10000−k)m2.これを整理するとpN=100001+10000N2k(10000−k).(1)(1)
N=10000 では k=0 だからp10000=100001.(2)
N=10001 では k=1 なので (1) からp10001−p10000=10000⋅1000129999>0.従って p10001>p10000 であり、差は有効数字1桁で1×10−8である。
(3)
10000≤N≤20000 では m=1 としてpN=(10000+k)210000+3k(0≤k≤10000)を調べればよい。実数 k で微分すると k=10000/3 を境に増加から減少へ変わる。従って整数候補 k=3333,3334 を比較し、最大値はr=p13333=17776888919999.最小値は (1) の誤差項が0となる両端でq=100001である。
(4)
(1) の第2項は常に0以上なので pN≥q である。
m=1 では (3) より pN≤r である。m≥2 では、k を実数として最大化した値は100001(1+4m(m+1)1).従ってpN≤100001(1+241)=96001<r.以上から、すべての N≥10000 についてq≤pN≤rが成り立つ。
総評
難度8、計算量8。衝突確率を各表示の出現個数の二乗和で表すと全体が統一される。最初の1周期では整数最大点を隣接2候補まで比較し、2周期目以降は連続最大値そのものがr未満であることを分数比較で確認した。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。
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出典: 東京大学 1997年度 後期 理科 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。