方針
与式をm(m+1)+a(2n+1n2−m)と書き、aについて一次式として見る。m=0とm=nから必要条件0<a<2n+1が出る。十分性では整数mを、m≦0、0<m≦2n+1n2、m>2n+1n2に分け、最後の範囲ではa<2n+1を使って(m−n)2で下から評価する。
解答
与えられた式を m2−(a−1)m+2n+1n2a=m(m+1)+a(2n+1n2−m) と書く。
まず必要条件を求める。m=0を代入すると 2n+1n2a>0 である。nは正の整数なので a>0 が必要である。またm=nを代入すると n(n+1)+a(2n+1n2−n)>0 である。ここで 2n+1n2−n=−2n+1n(n+1) だから n(n+1)−a2n+1n(n+1)>0 である。したがって a<2n+1 が必要である。
次に、0<a<2n+1 ならばすべての整数mで与式が正になることを示す。 m≦0のとき、整数mについて m(m+1)≧0 であり、さらに 2n+1n2−m>0 である。a>0より与式は正である。 m>0かつ m≦2n+1n2 のとき、m(m+1)>0であり、第2項も0以上である。したがって与式は正である。
最後に m>2n+1n2 とする。このとき 2n+1n2−m<0 である。a<2n+1を負の数に掛けると不等号の向きが逆になるのでa(2n+1n2−m)>(2n+1)(2n+1n2−m)である。したがって与式は m(m+1)+(2n+1)(2n+1n2−m) より大きい。この右辺は m2+m+n2−(2n+1)m=m2−2nm+n2=(m−n)2 である。よって与式は(m−n)2より大きく、特に正である。
以上より、求める範囲は 0<a<2n+1 である。
別解
解法2(各整数が与える上限を比較)
方針
c=n2/(2n+1) とおき、与式を m(m+1)+a(c−m) と見る。係数 c−m の符号によって、各整数 m が a に課す条件を整理する。上限を与える m>c では、その上限と 2n+1 の差が完全平方になることを示し、最も厳しい整数が m=n だと特定する。
解答
c=2n+1n2とおくと、与式はm(m+1)+a(c−m)である。
m=0 を代入すると ac>0 であり、c>0 だからa>0が必要である。
m≤c の整数については、m≥1 ならm(m+1)>0,a(c−m)≥0である。m≤0 なら m(m+1)≥0 かつ c−m>0 なので、やはり a>0 のもとで与式は正になる。
残る m>c では c−m<0 であるから、条件はa<Rm,Rm=m−cm(m+1)と同値である。ここでRm−(2n+1)=m−cm(m+1)−(2n+1)(m−c)=m−cm2−2nm+n2=m−c(m−n)2≥0.従って、すべての m>c が与える上限は 2n+1 以上である。またn−c=2n+1n(n+1)>0なので m=n はこの範囲に属し、等号Rn=2n+1を実現する。
以上より、上限として最も厳しいものは m=n が与えるa<2n+1である。下限 a>0 と合わせて、求める範囲は0<a<2n+1となる。
総評
難度6、計算量5。目安時間は18分。整数m全体に対する正値条件を、aについての一次不等式として読む問題である。m=0とm=nで必要条件がすぐ出るが、十分性を示すにはmの範囲分けが必要である。最後の範囲で負の係数に不等式を掛けるため、不等号の向きを確認することが最も危ない。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。
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出典: 東京大学 1997年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。