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東京大学 1999年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

(1) kを自然数とする。m=2kとおくとき,
0<n<mを満たすすべての整数nについて,
二項係数mCnは偶数であることを示せ。

(2) 以下の条件を満たす自然数mをすべて求めよ。

条件:0nmを満たすすべての整数nについて二項係数mCnは奇数である。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

場合の数整数数と式 二項定理、偶奇性、数学的帰納法必要十分条件

方針

係数を2で割った余りだけで多項式を比較する。(1+x)2k の中間係数がすべて偶数であることを繰り返し二乗で示す。(2)では条件を満たす行の次の行を考え、指数が2の累乗でなければ奇数の中間係数が現れることを示す。

解答

(1)
係数の偶奇だけを考える。基本となる等式は (1+x)2=1+2x+x2 である。したがって、係数を2で割った余りで見ると (1+x)21+x2 と同じである。

これを繰り返す。例えば (1+x)4=((1+x)2)2 は、係数の偶奇だけを見れば (1+x2)2 と同じであり、さらに (1+x2)2=1+2x2+x4 なので、偶奇だけを見れば 1+x4 と同じである。

同様に繰り返すと (1+x)2k は、係数の偶奇だけを見れば 1+x2k と同じである。ところが二項定理より (1+x)2k=n=02k2kCnxn である。右端の 1+x2k には中間の項がないので 0<n<2k を満たす n について、係数 2kCn はすべて偶数である。

(2)
条件を満たす自然数 m を考える。すべての mCn が奇数であるから、係数の偶奇だけを見れば (1+x)m1+x+x2++xm と同じである。

両方に 1+x を掛けると、係数の偶奇だけを見て (1+x)m+1(1+x)(1+x+x2++xm) と同じである。右辺は 1+2x+2x2++2xm+xm+1 であるから、偶奇だけを見れば 1+xm+1 と同じである。すなわち、(1+x)m+1 の中間係数はすべて偶数である。

ここで m+1=2sq とおく。ただし q は奇数である。もし q>1 なら、(1)と同じ変形を s 回行うことで、係数の偶奇だけを見て (1+x)m+1=((1+x)2s)q(1+x2s)q と同じになる。この多項式の x2s の係数は q であり、q は奇数だから、この中間係数は奇数である。これは (1+x)m+1 の中間係数がすべて偶数であることに反する。よって q=1 でなければならない。したがって m+1=2s である。

逆に m=2s1(s=1,2,3,) とする。このとき (1+x)m+1=(1+x)2s であるから、(1)より係数の偶奇だけを見れば (1+x)m+11+xm+1 と同じである。一方 (1+x)(1+x+x2++xm)=1+2x+2x2++2xm+xm+1 も、係数の偶奇だけを見れば 1+xm+1 と同じである。

したがって (1+x)m+1(1+x)(1+x++xm) は係数の偶奇が一致する。両方が 1+x を因数にもつので、割った後の (1+x)m1+x++xm も係数の偶奇が一致する。よって (1+x)m のすべての係数、すなわちすべての mCn は奇数である。

以上より、求める自然数は m=2s1(s=1,2,3,) である。

別解

解法2

方針

(1) は二項係数を 2kCn=(2k/n)2k1Cn1 と分け、分子・分母に含まれる2の個数を比較する。(2)は m の2進表示に対応して (1+x)m を因数分解し、どの次数の係数が奇数になるかを2進桁で判定する。

解答

(1) 2kCn=2kn2k1Cn1(0<n<2k)と書く。ここで2k1Cn1=(2k1)(2k2)(2kn+1)12(n1).1j<2k に対し、j=2sqq は奇数)と書けば2kj=2s(2ksq)で、括弧内は奇数である。従って j2kj に含まれる因数2の個数は等しい。上の分数では分子・分母の因数2が全て相殺されるので、2k1Cn1 は奇数である。

一方、n<2k だから n に含まれる因数2の個数は k 未満である。従って 2k/n から少なくとも1個の因数2が残り、2kCn は偶数である。

(2)
m を2進表示してm=ε0+ε12++εs2s,εj{0,1}とする。係数を2で割った余りだけ見ると、(1)と同じ議論から(1+x)2j1+x2jである。従って(1+x)m(1+x)ε0(1+x2)ε1(1+x2s)εs.右辺を展開すると、xn の係数が奇数になるのは、n の2進表示で1になっている桁が全て m でも1になっている場合に限る。

0nm の全てで係数が奇数になるには、m の最高桁以下が全て1でなければならない。従ってm=(1111)2=2s+11.逆にこの形なら、0nm の各2進桁は m の1の桁から自由に選べるので、全ての係数が奇数である。

よって求める自然数はm=2k1(k=1,2,3,)である。

総評

二項係数の偶奇を多項式の係数として読む問題である。第(2)問の答えは2進表示が全て1となる数、すなわち 2k1 に限られる。2進因数の個数を数える別解では、j2kj が同じ個数の因数2を持つことが要点である。自然数を1以上とする約束に合わせ k1 とした。

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出典: 東京大学 1999年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。