方針
(1) 二つの一次式ごとに固定点を解く。(2)(3) 固定点集合の逆像を繰り返し取り、分母が2倍ずつ増えることを帰納法で示す。(4) 全項が 未満と仮定し、右枝に入った後の からの距離が毎回2倍になることから矛盾を出す。(5) 極限は連続性から固定点に限られ、各固定点近傍での距離の拡大を使う。
解答
(1) では より 。 では より 。したがって(2) 固定点集合を とする。 の解は、 ならである。逆像を3回取るとよって(3) 逆像を一回取るごとに、隣り合う点の間隔は半分になる。実際、 に対して帰納的にとなる。したがって求める初期値はと表される有理数であり、逆にこれらはすべて条件を満たす。
(4) (3)を満たさず、しかもすべての項が 未満だと仮定する。 の間は だから、やがて となる。以後も 未満という仮定の下では右側の式が続き、である。 なら(3)に反し、そうでなければ左辺の距離は2倍を繰り返して、区間 内にとどまれない。いずれも矛盾する。よってある で となる。
(5) (3)の形なら、ある項以後は または で一定となるから収束する。
逆に とする。 は で連続なので 、従って または である。 のとき、十分先では左枝にあり、零でない限り次項は2倍となるため0へは収束できない。 のときも、十分先では右枝にあり、 からの距離は零でない限り2倍となるため収束できない。従ってどちらの場合も、ある項が固定点そのものに一致する必要がある。
以上より必要十分条件はである。
テント写像と2つの固定点
別解
解法2
方針
固定点へ到達する点の集合を逆像の木として作る。各段で間隔が半分になることと、固定点からの距離が局所的に2倍になることを使う。
解答
(1)
2本の一次式をそれぞれ解けば、固定点は(2)
に対する の解は固定点集合の逆像を3回取ると間隔 の格子になる。従って(3)
固定点集合を とし、 回後に へ入る点の集合を とする。逆像を繰り返すと従って、ある項が固定点となるための必要十分条件は(4)
上の集合に属さず、全項が 未満と仮定する。0でない点は左枝で2倍され、有限回後に へ入る。その後、仮定の下では右枝にとどまり距離が0でなければ2倍を繰り返して同じ区間にとどまれず、0なら固定点へ到達している。いずれも仮定に反する。
(5)
収束するなら連続性から極限は または である。しかし両固定点の近くでは、点そのものに一致しない限り距離が2倍になる。よって収束には有限回で固定点へ達することが必要で、十分でもある。従って条件は小問(3)と同じである。
総評
難度7、計算量5。想定時間は30分程度。有限回の逆像は等間隔の格子になる。(4)(5)の核心は、この写像が固定点の近くで距離を縮めず2倍にする点である。「有界だから収束」とはせず、収束するなら固定点へ有限回で到達しなければならないことまで示す。