Evolton

東京大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

abcを実数とし,a0とする。
2次関数f(x)=ax2+bx+cが次の条件(A),(B)を満たすとする。

(A) f(1)=1f(1)=1

(B) 1x1を満たすすべてのxに対し,f(x)3x21

このとき,
積分I=11(f(x))2dxの値のとりうる範囲を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

関数方程式・不等式微分積分 文字消去、範囲評価、微積分の対称性、計算整理

方針

端点条件から f(x)=x+a(x21) まで係数を減らす。条件(B)は q(x)=(3a)x2x+a1[1,1] で常に非負である条件で、端点値は常に q(1)=3, q(1)=1 となる。したがって軸が区間内に入る下に凸の場合だけ頂点値を調べればよい。理科には f(1)6 がないので a には上限がなく、I=2+8a2/3 の最小値だけが決まる。

解答

端点条件から ab+c=1,a+b+c=1 である。よって b=1,c=a であり、f(x)=ax2+xa=x+a(x21) と書ける。

条件(B)は x+a(x21)3x21(1x1) である。すなわち q(x)=(3a)x2x+a10(1x1) である。端点では q(1)=3,q(1)=1 となり、これは常に正である。 a<3 のとき、q(x) は下に凸で、その軸は x=12(3a) である。この軸が区間 [1,1] に入るのは a5/2 のときである。この場合、区間上の最小値は頂点でとるので q(12(3a))=a114(3a) が0以上であればよい。これを整理すると 4(a1)(3a)10 すなわち 4a216a+130 である。したがって (a2)234 となる。a5/2 も合わせると 232a52 である。

一方、5/2<a<3 のときは軸が x=1 より右にあるので、最小値は右端でとり q(1)=1>0 である。また a=3 のときは q(x)=x+2 であり、a>3 のときは区間での最小値が端点で確認できるので、いずれも条件(B)を満たす。

よって条件(B)は a232 と同値である。

次に f(x)=1+2ax だからI=11(1+2ax)2dx=11(1+4ax+4a2x2)dxである。奇関数である 4ax の積分は0なので I=2+4a223=2+83a2 である。上の範囲では a>0 であるから、I の最小値は a=232 で生じる。その値は 2+83(232)2=441633 である。

理科の条件には a の上限がないので、a を大きくすれば I もいくらでも大きくなる。したがって求める範囲は I441633 である。

別解

解法2(差の平方完成と上方非有界性)

方針

条件(B)を差 q(x)=3x21f(x) の非負性へ変換し、平方完成で
係数 a の必要十分条件を求める。文科版と異なり微分係数の上限制約がないため、
最後に I が上に有界でないことを明示する。

解答

端点条件からf(x)=x+a(x21)であり、条件(B)はq(x)=(3a)x2x+a10(1x1)と同値である。

a<3 のときq(x)=(3a)(x12(3a))2+a114(3a).軸が区間に入る a52 では、頂点値が非負である条件は4(a1)(3a)10    (a2)234.したがってこの場合は232a52.52<a<3 なら最小値は q(1)=1 である。
a3 なら最小値は端点で生じ、q(1)=3,q(1)=1だから条件を満たす。以上よりa232.さらにI=11(1+2ax)2dx=2+83a2.許される a は正であるから、最小値はa=232で生じる。一方、a には上限がなく、a とすれば
I である。よってI441633.

総評

文科第1問とほぼ同じ処理だが、微分係数の上限条件がないため答えは下限のみになる。目安時間は15〜20分。条件(B)の処理では、端点が常に正であること、下に凸で軸が区間に入る場合だけ頂点値を調べることを順に書くと抜けが少ない。最後に I=2+8a2/3 まで出したあと、a に上限を付けてしまうと文科版との混同になる。上に有界でないことを一言添えると、範囲の表現が明確になる。

冊子PDFで見る東大の関数の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2003年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。