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東京大学 2008年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

座標平面の点(x,y)(3x+y,2x)へ移す移動fを考え,点Pが移る行き先をf(P)と表す。
fを用いて直線l0l1l2を以下のように定める。

l0は直線3x+2y=1である。

・ 点Pln上を動くとき,f(P)が描く直線をln+1とする(n=0,1,2,)

以下lnを1次式を用いてanx+bny=1と表す。

(1) an+1bn+1anbnで表せ。

(2) 不等式anx+bny>1が定める領域をDnとする。
D0D1D2すべてに含まれるような点の範囲を図示せよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

図形と方程式数列 漸化式の変形、範囲評価、座標設定

方針

(1) は点の像を直接追うより,像の座標 (X,Y) から元の座標 (x,y) を戻し,元の直線 anx+bny=1 に代入して係数を読む。右辺を 1 に保ったまま係数列 (an,bn) が定まる点を確認する。(2)では係数列を明示し,anx+bny=x+y+2n(2x+y) に直す。無限個の不等式は,n=0 の条件と n で必要になる条件を取り出し,逆向きは凸結合の形で全ての n を同時に確認する。

解答

(1) f による像の座標を (X,Y) とおく。すなわち X=3x+y,Y=2x である。これを元の座標について解くと,x=Y2,y=X+3Y2 である。

(x,y)ln,すなわち anx+bny=1 上にあるとき,像 (X,Y)an(Y2)+bn(X+3Y2)=1 を満たす。整理すると bnX+3bnan2Y=1 である。したがって,像の直線 ln+1an+1X+bn+1Y=1 と書けば,an+1=bn,bn+1=3bnan2 である。文字 (X,Y) を再び (x,y) と書けば,これが求める関係式である。

(2) l03x+2y=1 であるから,a0=3,b0=2 である。(1)の関係式から an+1=bn なので,an+2=bn+1=3bnan2=3an+1an2 すなわち 2an+23an+1+an=0 である。初期値 a0=3,a1=2 から an=1+21n が得られる。実際,この式は n=0,1 で初期値を満たし,上の漸化式にも代入して確かめられる。さらに bn=an+1 より bn=1+2n である。

したがってanx+bny=(1+21n)x+(1+2n)y=x+y+2n(2x+y)=(12n)(x+y)+2n(3x+2y)である。

すべての Dn に含まれる点は,すべての n について anx+bny>1 を満たす点である。特に n=0 から 3x+2y>1 が必要である。また n を大きくすると 2n0 だから,もし x+y<1 なら十分大きい nanx+bny<1 となってしまう。よって x+y1 も必要である。

逆に 3x+2y>1,x+y1 が成り立つとする。このとき任意の n0 について anx+bny=(12n)(x+y)+2n(3x+2y) であり,0<2n1 である。右辺は,x+y13x+2y>1 の重み付き平均で,しかも後者の重み 2n は正であるから,anx+bny>1 となる。

したがって求める範囲は x+y1,3x+2y>1 を同時に満たす点全体である。図示すると,直線 x+y=1 の上側の半平面は境界を含み,直線 3x+2y=1 の上側の半平面は境界を含まない。その共通部分が答えである。

青い共通部分が答え。実線 x+y=1 は含み、破線 3x+2y=1 は含まない。

総評

直線の像を出す場面で,点の移動と直線係数の移動を混同しないことが第一の注意点である。想定時間は15分から20分,難易度は6,計算量は5程度。(2)の核心は,無限個の半平面を n=0 の境界と極限の境界の2本で表すことにある。x+y=1 は含まれる一方,3x+2y=1D0 が開半平面なので含まれない。この境界の開閉を図に反映できるかが答案の仕上がりを左右する。

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出典: 東京大学 2008年度 前期 理科 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。