方針
操作後の の個数を,現在の個数 から直接求める。 なら表で ,裏で0になり, なら表で30,裏で になる。(1) はこの遷移を条件付き確率で書く。(2) は初期値10から到達し得る状態が に限られることを使い,2回を1単位にして の一次漸化式を作る。
解答
(1) 現在,箱 に入っているボールの個数を とする。
まず の場合を考える。このとき である。表が出ると, から に 個移すので, の個数は になる。裏が出ると, から に 個移すので, の個数は になる。したがって である。 のとき,0個から1回以上の操作で30個になることはないので である。よって である。この場合は と選べばよい。
次に の場合を考える。このとき である。表が出ると, から に 個移すので, の個数は になる。裏が出ると, から に 個移すので, の個数は になる。30個になった後は, なのでそのまま30個であり続ける。したがって である。この場合は と選べばよい。
(2) とおく。10から1回操作すると,表なら20,裏なら0になる。0に行くと以後30にはならない。20から1回操作すると,表なら30,裏なら10になる。したがって,10から2回操作した後には,確率 で30に到達し,確率 で10に戻る。残りの確率は0に吸収される場合である。
よって で が成り立つ。また,2回の操作で10から30に到達する確率は である。
この漸化式の定数解は より である。したがって となる。 より なのでよって である。
10からの2回遷移
2回ごとに「30へ到達」「10へ復帰」「0へ吸収」の3通りへ分かれる。
別解
解法2(初成功時刻の直接計数)
方針
10から2回を1組として見る。各組の開始時に10個なら、確率1/4で30個に到達し、確率1/4で10個へ戻り、残りは0個へ吸収される。第何組で初めて30個へ到達するかを直接足し上げる。
解答
(1) 1回後の状態を直接条件づけるとである。前者では 、後者では と選べばよい。
(2) 10個から始めた2回の操作を1組とする。1組の間にであり、それ以外は0個へ吸収される。
第 組で初めて30個へ到達するには、それ以前の 組で毎回10個へ戻り、第 組で30個へ進めばよい。その確率はである。したがって、 組以内に到達する確率はこれは30個へ到達した後が吸収状態であることも含めて数えている。
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中5。目安時間は25分程度で、31個の状態をすべて追わず、0と30が吸収状態であること、10が2回後に自分へ戻り得ることを見抜く問題である。
漸化式法では「すでに30へ到達した枝」と「10へ戻った枝」を分ける。直接計数法では、第 組で初めて成功する事象が互いに排反であることを明示する。どちらでも と を混同せず、2回を1単位として数えるのが要点である。