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東京大学 2011年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

実数xの小数部分を,0y<1かつxyが整数となる実数yのこととし,
これを記号xで表す。
実数aに対して,無限数列{an}の各項an (n=1,2,3,)を次のように順次定める。

(i) a1=a

(ii) {an0のとき,an+1=1an,an=0のとき,an+1=0.

(1) a=2のとき,数列{an}を求めよ。

(2) 任意の自然数nに対してan=aとなるような
13以上の実数aをすべて求めよ。

(3) aが有理数であるとする。
aを整数pと自然数qを用いてa=pqと表すとき,
q以上のすべての自然数nに対して,
an=0であることを示せ。

難易度6/ 10計算量4/ 10目安22

数列数と式整数 漸化式の変形、場合分け、範囲評価、剰余分類

方針

(1) (2) は小数部分の固定点問題として処理する。(1) では 21 が写像 x1/x の固定点であることを確認する。(2) では a=a から 1/3a<1 を得て、1/a=a1/aa が整数である条件に直す。(3) は有理数の分母が減ることを示す。an0 のとき既約分数 an=r/s と表し、s=kr+ρ と割り算すると、次項は0または ρ/r の小数部分になり、0でない限り既約分母は s より小さくなる。初項の分母は高々 q なので、q 番目以降は0になる。

解答

(1) 1<2<2 であるから a1=2=21 である。また 121=2+1 であり、2<2+1<3 なので121=2+1=21である。よって a2=a1 であり、同じことが繰り返される。したがって an=21(n=1,2,3,) である。

(2)
任意の自然数 n について an=a であるとする。特に a1=a=a だから、a は小数部分として現れる値であり 0a<1 である。問題の条件 a1/3 と合わせて 13a<1 を得る。したがって a0 である。

さらに a2=a であるから 1a=a である。小数部分の定義より、ある整数 m が存在して 1a=m+a と表せる。つまり 1aa=m である。1/3a<1 より 0<1aa<3 なので、整数 mm=1,2 のいずれかである。 m=1 のとき a2+a1=0 より、正の解として a=512 を得る。m=2 のとき a2+2a1=0 より、正の解として a=21 を得る。どちらも 1/3a<1 を満たし、1/a=a も満たす。

したがって求める値は 21,512 である。

(3) a=p/q と表されているとする。a1=p/q は有理数であり、a10 のとき既約分数で表した分母は高々 q である。もし a1=0 なら、定義より以後もすべて0なので結論は明らかである。

以下、an0 とし、an を既約分数で an=rs(0<r<s) と表す。ただし、rs は互いに素とする。小数部分なので 0<an<1 であり、したがって 0<r<s である。 sr で割って s=kr+ρ,0ρ<r とおく。すると 1an=sr=k+ρr である。したがって an+1=1an は、ρ=0 のとき0であり、ρ>0 のときは ρ/r を約分した分数である。 ρ>0 の場合、an+1 の既約分母は r 以下である。ところが r<s なので、an+10 なら既約分母は前の分母 s より真に小さい。

よって、項が0でない間、既約分数で表した分母は正の整数として真に減少し続ける。初項 a1 の既約分母は高々 q であるから、a1,a2,,aq がすべて0でないことはありえない。したがって aq=0 である。いったん0になれば、定義により次項以降も0である。ゆえに q 以上のすべての自然数 n に対して an=0 である。

総評

(1) (2) は文系第2問と同じ固定点処理で、(3) の分母減少が理系版の要点である。目安時間は22分。有理数を既約分数 r/s で表したとき、1/(r/s)=s/r の小数部分が、ユークリッドの割り算の余り ρ によって ρ/r になることを明示できれば自然に証明できる。大学的な連分数の言葉は不要である。注意点は、最初に与えられた p/q が既約とは限らないため、a1 の既約分母は「高々 q」と書くこと、0になった後は定義により0が続くことを最後に確認することである。

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出典: 東京大学 2011年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。