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北海道大学 1990年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

行列12(3335)
で表される平面の1次変換をfとする.

(1) fによって自分自身に移される直線をすべて求めよ.

(2)x2+y2=1を1次変換fによって移した後
さらに原点を中心として左まわりに60だけ回転して得られる曲線の方程式を求め,
その概形をかけ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列図形と方程式 ベクトル成分計算回転・拡大、計算整理

方針

不変直線はまず方向が変換後も同じ方向になることから候補の傾きを決める。ただし直線が原点を通るとは限らないので、候補ごとに切片が保たれる条件を必ず調べる。(2)は1次変換と60度回転の合成行列を作り、変換後の点から逆に単位円へ戻して方程式を出す。媒介変数表示でも同じ楕円が確認でき、概形は軸の向きと半径まで述べる。

解答

(1)
鉛直線の方向ベクトル (0,1) は、この1次変換で (32,52) に移り、鉛直方向にはならない。したがって不変直線は y=mx+b の形で調べればよい。

方向ベクトル (1,m) を変換すると (33m2,3+5m2) である。これが (1,m) と平行であるためには 3+5m=m(33m) が必要であり、整理して 3m2+2m3=0 を得る。よって m=13,m=3 である。

次に切片を調べる。点 (0,b) を変換すると (32b,52b) である。 m=13 のとき、変換した点が同じ直線 y=x3+b 上にある条件は 52b=12b+b=12b であるから、b=0 である。 m=3 のときは 52b=3(32b)+b が任意の b で成り立つ。したがって求める直線は y=x3,y=3x+b(b は任意の実数) である。

(2)
与えられた1次変換の行列を A、原点中心の60度左回転の行列を R とすると、合成変換はT=RA=(323323212)である。変換後の点を X,Y、もとの円上の点を x,y とすれば(XY)=T(xy)であり、T1=(16323612)だから x=X6+32Y,y=36X+12Y である。もとの点が単位円上にある条件 x2+y2=1 に代入すると、交差項が打ち消し合い、(X6+32Y)2+(36X+12Y)2=1すなわち X29+Y2=1 を得る。したがって概形は原点を中心とし、X 軸方向の半径が 3Y 軸方向の半径が 1 の楕円である。

別解

解法2:固有方向と媒介変数表示を使う

方針

(1) は方向ベクトルが同じ直線上へ移る2方向を求め、各方向に直交する一次式が変換でどのように変わるかを調べて切片条件を決める。(2) は単位円を三角関数で媒介表示し、1次変換と回転を順に施して楕円の標準形を直接得る。

解答

(1)
変換行列を A とする。方向ベクトルu=(3,1),v=(1,3)に対しAu=u,Av=3vである。したがって不変直線の方向候補はこの2方向だけである。

u 方向の直線をx3y=cと書く。点 (x,y) の像を (X,Y) とすると、直接計算してX3Y=3(x3y)である。同じ直線へ移るには 3c=c が必要なので c=0 である。よってy=x3.v 方向の直線は3x+y=cと書ける。このとき3X+Y=3x+yなので、任意の実数 c について同じ直線へ移る。したがってy=3x+cもすべて不変である。

(2)
単位円上の点を(x,y)=(cost,sint)とする。1次変換の後に 60 左回転するとX=32cost332sint=3cos(t+π3),Y=32cost+12sint=sin(t+π3).ゆえにX29+Y2=1.これは原点中心、X 軸方向の半径3、Y 軸方向の半径1の楕円である。

総評

難度は10段階中6、計算量は10段階中5。不変直線を方向だけで処理すると、y=3x+b の任意切片を落としやすいので、傾き決定後に代表点を変換した点が直線上に残るかの確認が得点の分かれ目になる。(2)は行列積、逆行列、円の代入の三段階で整理すれば重い計算ではない。試験場では20分前後で、(1)の切片条件と(2)の交差項の消去を答案に明記したい。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式や変化の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

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出典: 北海道大学 1990年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。