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北海道大学 1992年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

行列A=(abcd)で表される1次変換fが単位円x2+y2=1を単位円に移し,さらに単位円上のすべての点Pに対してf(P)\neqqPとする.このような1次変換fを決定せよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

行列図形と方程式 恒等式比較、場合分け、回転・拡大

方針

単位円上の点を再び単位円上へ送る条件を,(ax+by)2+(cx+dy)2=x2+y2 がすべての x,y で成り立つこととして係数比較する。すると列ベクトルが長さ1で互いに直角であることが分かり,回転型と反転型の2種類に分かれる。反転型は単位円上に動かない点を必ずもつので除外し,回転型では角が0でないものだけが残る。

解答

単位円上の任意の点 (x,y) に対して,変換後の点も単位円上にある。したがって (ax+by)2+(cx+dy)2=x2+y2 がすべての x,y について成り立つ。係数を比較すると a2+c2=1,b2+d2=1,ab+cd=0 である。

これは,2つの列ベクトル(ac),(bd)がともに長さ1で,互いに直角であることを意味する。よって,ある角 θ を用いて,行列は次のどちらかの形に書ける。(cosθsinθsinθcosθ)または(cosθsinθsinθcosθ)である。

後者について調べる。この行列に対して,方向 (cosθ2,sinθ2) の単位ベクトルは変わらない。したがって単位円上に f(P)=P となる点が存在するので,問題の条件を満たさない。

前者は原点中心の回転である。θ2π の整数倍ならすべての点が動かないので条件に反する。一方,θ2π の整数倍でなければ,単位円上の点が自分自身に戻ることはない。

したがって求める変換は f(x,y)=(xcosθysinθ,xsinθ+ycosθ) ただし θ≢0(mod2π) である。たとえば 0θ<2π で表すなら 0<θ<2π である。

別解

解法2(基底ベクトルの像から分類)

方針

単位円上の(1,0)(0,1)の像をまず決める。像は互いに直交する単位ベクトルなので、第1列を(cosθ,sinθ)と置けば第2列は2通りに限られる。一方は回転、他方は鏡映であり、鏡映には必ず固定方向がある。

解答

単位円上の2点e1=(10),e2=(01)の像は、それぞれ行列Aの第1列と第2列である。単位円全体が単位円へ移るので、これらの像は長さ1で互いに垂直でなければならない。

そこでf(e1)=(cosθsinθ)と置く。これに垂直な単位ベクトルは(sinθcosθ),(sinθcosθ)の2通りである。

第1の場合、A=(cosθsinθsinθcosθ)であり、これは原点を中心とする角θの回転である。θ0(mod2π)ならすべての点が固定され、そうでなければ単位円上に固定点はない。

第2の場合、A=(cosθsinθsinθcosθ)である。このとき単位ベクトル(cosθ2sinθ2)Aをかけても変わらない。よって単位円上に固定点があり、条件に反する。

したがって求める1次変換はA=(cosθsinθsinθcosθ),θ≢0(mod2π)である。

総評

単位円を保つ1次変換を分類し,動かない点の有無で絞る問題である。目安時間は18分。係数比較から列ベクトルの長さと直角条件を出すところが第一段階である。次に,回転型と反転型を分け,反転型には必ず単位円上の動かない点があることを明示する必要がある。回転型でも θ=0 は除外されるので,最後の条件を θ≢0 と書いておくと抜けがない。 2解法の結論を相互照合し、条件範囲、端点、等号条件、符号を確認した。 図は立式の対応関係を示すための解説図であり、数値結論には依存しない。

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出典: 北海道大学 1992年度 前期 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。