方針
(1) は表の個数で事象を数える。A は全部表または1個だけ裏,B は全部表・全部裏以外,A∩B はちょうど1個だけ裏である。独立条件から 2m=2(m+1) を得て,m≧2 の整数解を確認する。(2)は表の個数 k の二項分布を使って期待値を和で計算し,二項定理で (3/2)m にまとめる。最後は常用対数で最小の m を判定する。
解答
(1)
全事象の数は 2m である。事象 A は,全部表または1個だけ裏である場合だから P(A)=2m1+m である。事象 B は,全部表と全部裏を除いた場合だから P(B)=2m2m−2 である。また A∩B は,少なくとも m−1 個表で,かつ表も裏も少なくとも1個ある場合なので,ちょうど1個だけ裏の場合である。したがって P(A∩B)=2mm である。
独立であるための条件は P(A∩B)=P(A)P(B) であるから 2mm=2mm+1⋅2m2m−2 である。整理すると m2m=(m+1)(2m−2) となり,2m=2(m+1) を得る。 m=2 では左辺4,右辺6で不成立である。m=3 では左辺8,右辺8で成立する。m≧4 では 2m−1−(m+1) は正で,さらに m が1増えるごとに増加するので,これ以後は成立しない。よって m=3 である。
(2)
表が k 個出る確率は 2mmCk である。このとき X=2k だから E(X)=k=0∑m2k2mmCk である。二項定理より k=0∑mmCk2k=3m なので E(X)=2m3m=(23)m である。
次に (23)m>100 となる最小の m を求める。常用対数を取ると mlog1023>2 である。与えられた値より log1023=log103−log102=0.477−0.301=0.176 である。したがって m>0.1762=11.36⋯ である。よって最小の整数は 12 である。
別解
解法2(硬貨ごとの積で期待値を求める)
方針
(1) は事象の個数を数えて独立条件を解く。(2)では各硬貨に、表なら2、裏なら1という因子を対応させるとXはそれらの積になる。独立性から積の期待値を各因子の期待値の積として求める。
解答
(1)
Aは全部表または1個だけ裏、Bは全部表・全部裏以外である。よってP(A)=2mm+1,P(B)=2m2m−2,P(A∩B)=2mm.独立条件より2mm=2mm+12m2m−2であり、整理すると2m−1=m+1.m=2では2m−1=2\neqq3=m+1であり、m=3では成り立つ。
m≧4では2m−1>m+1であり、その差はmとともに増える。したがってm=3.(2)
第i番目の硬貨についてYi={21(表),(裏)と置く。表がk個ならY1Y2⋯Ym=2k=X.各硬貨は独立でE(Yi)=21⋅2+21⋅1=23だからE(X)=E(Y1Y2⋯Ym)=E(Y1)E(Y2)⋯E(Ym)=(23)m.(23)m>100の両辺の常用対数を取るとm(0.477−0.301)>2.よってm>0.1762=11.36⋯.したがって最小の整数はm=12.
総評
独立条件と期待値を,どちらも表の個数で整理する確率問題である。目安時間は16分。(1)では A と B の重なりが「ちょうど1個だけ裏」であることを明確にすると式が立てやすい。2m=2(m+1) の整数解は m=3 だけであることを確認する必要がある。(2)は期待値の和を二項定理でまとめるのが最短で,最後の対数計算では 11 では足りず 12 が最小であることを数値で判断する。 2解法の結論を相互照合し、条件範囲、端点、等号条件、符号を確認した。 図は立式の対応関係を示すための解説図であり、数値結論には依存しない。
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出典: 北海道大学 1992年度 後期 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。