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北海道大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

座標平面上の原点から次の規則で動く.

格子点(原点を含む)ではコインを投げ,
表がでればx軸の正の方向に1,
裏がでればy軸の正の方向に1進む.

コインをN回投げ,
長さNだけ進むあいだに,
直線x=2上を長さ1以上通過する確率をPNとする.
このとき,次の問に答えよ.
ただし,コインの表がでる確率,裏がでる確率はいずれも12とする.
また,格子点とはx座標とy座標がともに整数となる点のことである.

(1) P4を求めよ.

(2) PN (N3)を求めよ.

(3) limNPNを求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

確率場合の数 余事象、数え上げ極限計算

方針

直線 x=2 上を長さ1以上通過するのは,「表がちょうど2回出た状態で裏が出る」瞬間がある場合である.成功事象を直接数えるより,その瞬間が一度も起こらない列を補集合として数える.

解答

表を H,裏を T と書く.x 座標は,それまでに出た表の回数に等しい.したがって直線 x=2 上を長さ1以上通過するのは,表がちょうど2回出た状態で T が出て,縦方向に1進むときである.

(1) N=4 のとき,条件を満たす列を直接数える.表が2回出た後に裏が出る必要があるので,該当する列は HHTT,HHTH,HTHT,THHT の4通りである.全事象は 24=16 通りなので P4=416=14 である.

(2) N3 とする.補集合,すなわち直線 x=2 上を縦に進まない列を数える.

まず,表の総数が0回または1回なら,そもそも x=2 に到達しない.このような列は 1+N 通りである.

次に,表が少なくとも2回出る場合を考える.2回目の表が出た直後に裏が出ると成功してしまうので,失敗するには次のどちらかでなければならない.

2回目の表が最後の試行で出る場合は,2回目の表の位置が N であり,その前の N1 個の位置から1個だけ表を選ぶので N1 通りである.

2回目の表が j 回目に出て,さらに j+1 回目も表である場合を考える.ただし 2jN1 である.最初の j1 回のうち表は1回だけなので j1 通り,j+1 回目の後は自由なので 2Nj1 通りである.したがってこの場合の総数はj=2N1(j1)2Nj1である.

以上より失敗する列の総数は1+N+(N1)+j=2N1(j1)2Nj1である.ここでj=2N1(j1)2Nj1=2N1Nだから,失敗する列の総数は 2N1+N となる.よって成功する確率は PN=12N1+N2N=12N2N である.

なお,上の和の公式は,i=j1 とおいてj=2N1(j1)2Nj1=2N2i=1N2i2iとし,i=1mi2i=2m+22mを用いれば得られる.

(3) (2) の式からlimNN2N=0であるためlimNPN=12である.

x=2 上の成功区間

別解

解法2

方針

成功する列を直接数える.2回目の表が出る位置を j とすると,成功にはその直後が裏であることが必要十分である.位置 j ごとの個数を足して有限和を処理する.

解答

表を H,裏を T とする.直線 x=2 上を長さ1進むための必要十分条件は,
「2回目の H の直後に T が出る」ことである.

(1)

N=4 ではHHTH,HHTT,HTHT,THHTの4列が該当する.よってP4=424=14.(2)

2回目の Hj 回目に出るとする.成功するには 2jN1 であり,
最初の j1 回のうち H はちょうど1回,j 回目は Hj+1 回目は T である.
残りの Nj1 回は自由だから,この場合の列は(j1)2Nj1通りである.したがって成功列の総数はj=2N1(j1)2Nj1.i=j1m=N2 とおくとj=2N1(j1)2Nj1=2N2i=1mi2i.恒等式i=1mi2i=2m+22mを用いれば,成功列は 2N1N 通りである.よってPN=2N1N2N=12N2N.(3)limNN2N=0よりlimNPN=12.

総評

難度は10段階中6,計算量は10段階中5.条件を「直線 x=2 に到達する」ではなく,「表が2回出た後に裏が出る」と読み替えるのが第一の要点である.成功を直接数えると場合分けが散らばりやすいが,補集合にすると「表が0回または1回」「2回目の表が最後」「2回目の表の直後に3回目の表」という形に整理できる.最後の和の処理まで丁寧に書けば,一般の N に対する式の根拠が明確になる.

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出典: 北海道大学 1995年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。