方針
積の恒等式を数学的帰納法で証明する。帰納段階では (X−1)(X+1)=X2−1 を使う。(2)は al とそれ以前の積との差が2であることから、公約数が2を割るところまで落とし、各 an が奇数であることを併用する。
解答
(1)
ここでは b(n)=2n であるから an=22n+1 である。示すべき式は a0a1⋯an=22n+1−1 である。
まず n=1 のとき a0a1=(21+1)(22+1)=3⋅5=15=24−1=222−1 となり成り立つ。
次に、ある n≧1 で a0a1⋯an=22n+1−1 が成り立つと仮定する。このときa0a1⋯anan+1=(22n+1−1)(22n+1+1)=(22n+1)2−1=22n+2−1である。したがって数学的帰納法により、すべての n≧1 について a0a1⋯an=2b(n+1)−1 が成り立つ。
(2)
(1) より a0a1⋯an=22n+1−1 であるから、右辺に2を加えると a0a1⋯an+2=22n+1+1=an+1 を得る。これで前半が示された。
次に l>m≧1 とする。(2)前半を l−1 に適用すると al=a0a1⋯al−1+2 である。ここで m≦l−1 なので、am は積 a0a1⋯al−1 を割り切る。
いま al と am の公約数を d とする。すると d は am を割り切るので a0a1⋯al−1 も割り切り、さらに al も割り切る。したがって d∣{al−(a0a1⋯al−1)}=2 である。一方、各 an=22n+1 は奇数であるから、d も奇数である。2を割る奇数は1だけなので d=1 である。よって al と am は1より大きい公約数を持たない。
別解
解法2
方針
(1) は差の平方を繰り返して直接因数分解し、積を一度に得る。(2)は共通約数を法とする合同式で 22l が 1 と −1 の両方に合同になることを示す。
解答
(1)
差の平方を繰り返すと22n+1−1=(22n−1)(22n+1)=(22n−1−1)(22n−1+1)(22n+1)=⋯=(2−1)(2+1)(22+1)⋯(22n+1)=a0a1⋯an.よって所要の積の恒等式が成り立つ。
(2)
(1) の式に2を加えればan+1=22n+1+1=a0a1⋯an+2.l>m≧1 とし、al,am の正の公約数を d とする。
d∣am だから22m≡−1(modd).両辺を 2l−m 乗する。2l−m は偶数なので22l≡1(modd).一方、d∣al より 22l≡−1(modd) でもある。したがって1≡−1(modd),d∣2.すべての an は奇数だから d も奇数であり、d=1 である。よって al,am は互いに素である。
総評
典型的なフェルマー数の互いに素性を、帰納法と割り算の形で確認する問題。(1)は平方差 (X−1)(X+1)=X2−1 を使うだけだが、指数が 2n+1 から 2n+2 へ移る点を書き落とさないことが得点になる。(2)では、公約数が「項そのもの」と「それ以前の積との差」も割る、という流れを明確にするのが中心である。d∣2 で止めると不十分で、各 an が奇数であることまで添えて d=1 と結ぶ必要がある。合同式の 帰納法による積の生成と、差の平方を反復する直接因数分解を示した。互いに素の結論では、公約数が2を割ることに加えて各項が奇数であることまで必要である。
冊子PDFで見る北大の整数の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1993年度 前期 文系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。