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北海道大学 1996年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

nは3以上の整数とする.

(1) g(x)=(x+n1)(x+n2)(x+1)xn次多項式とする.
1以上のすべての整数kに対し,g(k)n!の倍数であることを示せ.

(2) f(x)xnの係数を1とするn次多項式とする.f1(x)=f(x+1)f(x)xn1の係数およびf2(x)=f1(x+1)f1(x)xn2の係数をそれぞれ求めよ.

(3) aを1以上の整数,f(x)を(2)の多項式とする.
1以上のすべての整数kについてf(k)が整数でaを約数にもつとき,
an!の約数であることを示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安13

整数数列論証・証明 数学的帰納法、階差数列、約数・倍数

方針

(1) は連続する n 個の整数の積を組合せの形にして n! の倍数と見る。(2)は差 f(x+1)f(x) が次数を1つ下げ、最高次係数に次数が掛かることを、上位係数だけで確認する。(3)ではこの差分操作を n 回繰り返すと定数 n! が残る。一方、仮定の「すべての正整数 ka の倍数」は差を取っても保たれるので、最後に an! が従う。

解答

(1)
正の整数 k に対して g(k)=k(k+1)(k+2)(k+n1) である。これは g(k)=(k+n1)!(k1)!=n!k+n1Cn と書ける。k+n1Cn は整数であるから、g(k)n! の倍数である。

(2) f(x)xn の係数が 1n 次多項式であるから、f(x)=xn+cn1xn1+ と書ける。すると f1(x)=f(x+1)f(x) において、最高次の寄与は (x+1)nxn=nxn1+ である。cn1((x+1)n1xn1) は高くても xn2 までしか含まないので、f1(x)xn1 の係数は n である。

同様に、f1(x)xn1 の係数が n(n1) 次多項式である。したがって f2(x)=f1(x+1)f1(x) の最高次の寄与は n((x+1)n1xn1)=n(n1)xn2+ である。よって f2(x)xn2 の係数は n(n1) である。

(3) f0(x)=f(x) とおき、j1 に対して fj(x)=fj1(x+1)fj1(x) と定める。仮定より、すべての正の整数 k について f0(k)=f(k) は整数であり、かつ a の倍数である。

もし fj1(k) がすべての正の整数 k について整数かつ a の倍数なら、fj(k)=fj1(k+1)fj1(k) も整数かつ a の倍数である。したがって帰納的に、すべての j について fj(k) は正の整数 k で整数かつ a の倍数である。

一方、(2)の考えを繰り返すと、差を1回取るごとに次数が1つ下がり、最高次係数には現在の次数が掛かる。したがって fn(x) は定数多項式で、その値は n(n1)(n2)21=n! である。

特に正の整数 k に対して fn(k)=n! であり、先ほどの結論からこれは a の倍数である。よって an!、すなわち an! の約数である。

差分で次数と最高次係数を追う

別解

解法2

方針

(1) は連続整数から選ぶ組合せの個数として階乗を取り出す。(2)は二項展開の最高次項だけを追う。(3)ではn 階差分を交代二項和で直接表し、各項の可除性から結論する。

解答

(1) g(k)=k(k+1)(k+n1)=n!k+n1Cn.右端の組合せ数は整数なので、g(k)n! の倍数である。

(2) f(x)=xn+cn1xn1+ とおく。二項展開から(x+1)nxn=nxn1+低次の項であり、残りの項の差は n2 次以下だから、f1
xn1 の係数は n である。同様にn{(x+1)n1xn1}=n(n1)xn2+低次の項より、f2xn2 の係数は n(n1) である。

(3)

Δf(x)=f(x+1)f(x) と書く。二項定理を繰り返し用いるとΔnf(k)=j=0n(1)njnCjf(k+j).仮定より各 f(k+j) は整数で a の倍数だから、
右辺も a の倍数である。

一方、差分は次数を1つ下げ、最高次係数にその次数を掛ける。
f は最高次係数1の n 次多項式なのでΔnf(k)=n!である。したがって an! である。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。有限差分を使って最高次係数から階乗を取り出す問題である。(2)で「下位の項は最高次係数に影響しない」ことを明確にしておくと、(3)の繰り返しが自然につながる。仮定は f(k) だけでなく、差を取った後の fj(k) にも引き継がれる点が核心である。想定時間は13分前後で、fj(k) の定義域が正の整数のまま保たれるように k+1 も正であることを意識して書くとよい。

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出典: 北海道大学 1996年度 後期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。