Evolton

北海道大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

S:x2+y2+z2=1上の点P(a,b,c)を通る平面a(xa)+b(yb)+c(zc)=0と点(2,1,1)の距離をd(P)とする.

(1) d(P)abcで表せ.

(2) 正の数rに対して,
S上の点Pd(P)=rとなるもの全体が1つの円となるという.
このようなrの範囲を求めよ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安18

ベクトル図形と方程式 座標設定内積の利用軌跡

方針

与えられた平面は球面上の点 P(a,b,c) における接平面なので、a2+b2+c2=1 を使って ax+by+cz=1 に直す。距離条件 d(P)=r2a+b+c1=r となり、単位球面と2枚の平面 2a+b+c=1±r の交わりを調べる問題になる。2枚のうちちょうど1枚だけが円で交わる範囲を、原点から平面までの距離で判定する。

解答

(1) P(a,b,c) は球 S:x2+y2+z2=1 上にあるので a2+b2+c2=1 である。与えられた平面は a(xa)+b(yb)+c(zc)=0 だから、これを整理すると ax+by+cz(a2+b2+c2)=0 である。したがって ax+by+cz=1 となる。

(2,1,1) とこの平面の距離は 2a+b+c1a2+b2+c2 である。分母は1なので d(P)=2a+b+c1 である。

(2) d(P)=r2a+b+c1=r であるから、2a+b+c=1+r または 2a+b+c=1r である。つまり、球面 a2+b2+c2=1 と2枚の平面の交わりを考えればよい。

平面 2a+b+c=k の原点からの距離は k22+12+12=k6 である。この平面が単位球面と1つの円で交わるための条件は k6<1 すなわち k<6 である。等号のときは1点で接するだけなので、円にはならない。

まず k=1+r については、r>0 だから 1+r<6r<61 と同値である。次に k=1r については 1r<6 より 16<r<1+6 であり、r>0 だから r<1+6 である。

求める点全体が1つの円になるには、2枚の平面のうちちょうど1枚だけが球面と円で交わる必要がある。1r 側が円で交わる条件は r<1+6 であり、1+r 側が円で交わらない条件は r61 である。ただし r=61 では 1+r 側が球面に接して1点を加えるので、点全体は1つの円だけにならない。したがって 61<r<6+1 である。

別解

解法2

方針

接平面距離を固定ベクトルへの射影値として捉え、単位球面上のレベル集合が円・点・空集合になる境界を読む。

解答

(1) p=(a,b,c),q=(2,1,1)とおく。接平面はpx=1で、p=1 だからd(P)=pq1=2a+b+c1.(2)

射影のレベル集合として見る。L(P)=pqとおく。Cauchy--Schwarzの不等式より、単位球面上で6L(P)6.d(P)=rL(P)=1+rまたはL(P)=1rを意味する。各レベル集合は、値が (6,6) の内部なら円、端点なら1点、範囲外なら空である。

r>0 のもとで 1r 側だけが内部に入り、1+r 側が範囲外となる条件は1r>6,1+r>6.端点では余分な接点が加わるため除外する。よって61<r<6+1.

総評

接平面の式と球面の平面切断を組み合わせる問題。目安時間は18分前後。(1)は a2+b2+c2=1 を使って平面を簡単にするのが鍵である。(2)では絶対値から2枚の平面が出るため、「2つの円」ではなく「1つの円」になる条件を丁寧に分ける必要がある。端点では接点が混ざるだけで円ではないので、両端が不等号になる。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、必要十分性、極限、図示範囲、途中計算まで確認した。

冊子PDFで見る北大のベクトルの問題で問題集を作る

出典: 北海道大学 1994年度 前期 理系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。