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北海道大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

一枚の硬貨を投げて,A君とB君が次のようなゲームを行う.
ゲーム開始時におけるA君,B君の得点はともに0点とする.
毎回の硬貨投げの試行で表がでたときA君の勝ち,裏がでたときB君の勝ちとし,
勝った方に+1点,負けた方に1点がそれまでの得点に加えられるとする.

各試行は独立としてこの試行を続けたとき,次の問いに答えよ.
ただし,硬貨の表と裏のでる確率は,ともに12である.
また,nmはともに1以上の整数とする.

(1) 3回の試行の後,A君の得点が1点である場合の数を求めよ.

(2) 2n回の試行の後,A君の得点が2m点である場合の数を求めよ.

(3) 2n回の試行の後,A君の得点が2m点とする.
試行開始後A君の得点がつねにB君の得点より多い確率を求めよ.

難易度6/ 10計算量4/ 10目安10

確率場合の数 数え上げ、条件付き確率、場合分け

方針

各時点の A 君の得点は「表の回数 裏の回数」であり、B 君の得点はその反対である。したがって A 君が常に多い条件は、各途中時点で表の累計が裏の累計より大きいことと同値になる。(1)(2)は表裏の回数を決めるだけでよく、(3)は最初に表を出した後、途中で同点に戻らない列を反射法で数える。

解答

(1)
3回の試行で表が h 回、裏が t 回出たとする。A 君の得点は ht であり、h+t=3,ht=1 である。よって h=2t=1 であり、場合の数は 3C2=3 である。

(2) 2n 回後に表が h 回、裏が t 回出たとする。このとき h+t=2n,ht=2m であるから、h=n+m,t=nm である。したがって 1mn のとき、場合の数は 2nCn+m である。m>n のときは t=nm<0 となるので、そのような列は存在せず 0 通りである。

(3)
条件付きで考える。2n 回後に A 君の得点が 2m 点であるから、以下では 1mn とする。表の総数を H=n+m 裏の総数を T=nm とおく。全体の場合の数は 2nCT である。

途中時点で A 君の得点が B 君の得点より多いことは、A 君の得点が正、すなわち表の累計が裏の累計より多いことと同値である。したがって、各途中時点で #H>#T を満たす列を数えればよい。

この条件を満たす列は最初が必ず表である。最初の表を取り除いた残り 2n1 個の並びには、表が H1 個、裏が T 個ある。残りの並びを左から読んだとき、途中で初めて表裏の累計差が 1 になるものを不適とする。この不適な並びは、初めて 1 になったところまで表と裏を入れ替える反射によって、表が H 個、裏が T1 個ある並びと一対一に対応する。

したがって適する列の数は 2n1CT2n1CT1 である。これを整理すると2n1CT2n1CT1=2n1CT(1TH)=2n1CTHTH.また 2nCT=2nH2n1CT であるから、求める確率は2n1CT2n1CT12nCT=HT2n=2m2n=mn.よって mn である。

得点差を格子路として見る

別解

解法2

方針

表を +1、裏を 1 とする道を考える。(3)では循環補題を使い、終点の高さが 2m である各列の巡回開始位置のうち、部分和が常に正になる開始位置の割合を直接求める。

解答

(1)

3回後の得点が1であるには、表2回・裏1回である。裏の位置を選べばよいので3通り.(2)

表を H 回、裏を T 回とするとH+T=2n,HT=2m.よって H=n+m,T=nm であり、場合の数は{2nCn+m(1mn),0(m>n).(3)

1mn とする。表を +1、裏を 1 と書けば、
各列の総和はHT=2m>0.循環補題によれば、総和が 2m である長さ 2n
±1 列を、開始位置を指定した巡回列として数えると、
各巡回軌道の 2n 個の開始位置のうち、途中の部分和がすべて正となる
開始位置はちょうど 2m 個である。これは、部分和が最小値を更新した直後を
開始位置に取ると正の道が得られ、その更新回数を総上昇量で数えることで分かる。

したがって、終点が 2m であるという条件の下で、途中の得点が常に正である割合は2m2n=mn.B 君の得点は常に A 君の得点の反対符号なので、
A 君が常に B 君より多い条件は、まさにこの部分和が常に正という条件である。
よって求める確率はmn.

総評

難度は10段階中6、計算量は10段階中4。(1)(2)は表と裏の回数を連立方程式で決めればよいが、(3)では「A の得点が B より多い」を「表の累計が裏の累計より常に多い」に直すところが核心である。条件付き確率なので、分母は 2n 回後の得点が 2m である全列数にする。想定時間は10分程度で、反射法の対応を言葉で書くと、公式暗記に見えず減点されにくい。

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出典: 北海道大学 1996年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。